城西国際大安房キャンパス跡地に日本航空高校の通信校開校へ 鴨川(千葉県)
鴨川市の懸案事項となっている城西国際大学安房キャンパス跡地(同市太海)の活用で、日本航空高等学校の通信制(毎日通学コース)の開校が調整されている。同校を運営する学校法人日本航空学園からは、早ければ来年4月の開校が示されており、キャンパス跡地の活用は、全国から生徒が集う教育施設という、同市にとって最良の形でかなうことになった。
同キャンパスは、同市が造成した太海多目的公益用地の一部を、同大を運営する学校法人城西大学に無償譲渡し、2004年に研修施設の安房ラーニングセンター、06年に観光学部、15年に学生寮などの安房グローバル・ヴィレッジが開設され、安房キャンパスと総称される施設群が形成された。学部など全ての機能は、経営の合理化などを理由に、22年度から東金キャンパスに移転され閉鎖された。 跡地には、教室棟や情報センター、研究室など観光学部が使用していた施設の他、AVホールや講義・セミナー室を備えたラーニングセンターとグローバル・ヴィレッジの施設が残っている。 同市では、土地と施設を無断で譲渡しないことなどを盛り込んだ協定を、学校法人城西大学と締結。2者で利活用候補事業者選定審査委員会を設置して提案を募り、審査を行ってきたが、不調が続いていた。
学校法人城西大学は、学校法人日本航空学園と連携協定を結んでおり、提案の公募とは別にキャンパス跡地活用の検討を依頼。現地視察などを行った結果、長期使用の希望に至ったという。 日本航空学園は、1932年に創立された国内では最大、最古の航空従事者養成の専門校。山梨県甲斐市や石川県輪島市、東京都青梅市、北海道千歳市にある日本航空高等学校の他、同校通信制課程、専門学校の日本航空大学校を運営している。 5日に使用に関する枠組みの方向性を確認する基本協定が3者で結ばれ、6、7日に鴨川市役所で開かれた市民説明会で、内容や使用条件が明らかにされた。 鴨川市の説明によると、通信制サテライトキャンパスとして、全国から生徒を募集し、専任教職員などを配置。生徒は住民票を同市に移し、生活しながら毎日通学する。 生徒数は、開校時は1年生のみ40人、2年目は60人の新入生を加えて100人、3年目から新入生は100人となり、5年目から3学年300人の規模となる。 開校当初は、女子野球や女子サッカーに注力して生徒を募集するとともに、能登半島地震で被害を受けた石川校の女子サッカー部の活動拠点を移す。その後は陸上(駅伝)など、スポーツ志望の生徒を募集する。 すでに認可を得ている通信制のキャンパスのため、早ければ来年4月に開校する。26年度にずれ込む場合は、来年度は山梨校、石川(青梅)校のクラブ合宿所として使用しながら、生徒の受け入れ環境を整え、オープンスクールなども開催する。 将来構想では、高等学校の認可を申請し、5~10年を掛けてドローン教育や航空専門教育の体制を整え、男子生徒を含めた航空人材育成機関を目指すという。
鴨川市に対しては▽安房キャンパス(土地)の長期無償使用▽市が所有するスポーツ施設の無償または減免での継続的使用――といった支援を求めている。 12月議会に、返還された土地を無償貸付するための議案が追加提案され、可決されれば年内に土地使用賃借契約を締結し、来年4月の開校が実現する。