危険? 便利? 「マイナンバー制度」の是非
いわゆる「マイナンバー法」が5月24日、参議院で可決、成立しました。2016年1月から運用が開始されますが、そもそもこの法律は何を目指したもので、何がどう変わるのでしょうか。 「マイナンバー」制度とは、国民一人ひとりに12桁の番号を割り当てて、氏名や住所、生年月日、所得、税金、年金などの個人情報を、その番号で一元管理する「共通番号制度」のことです。希望者には、番号と顔写真などが記載された個人番号カードが交付されます。
納税、年金、医療などの手続きが簡素化
現在、生年月日や住所は自治体、年金番号は日本年金機構、納税者番号は税務署というように、行政機関は国民の個人情報を各機関で個別に管理しています。そのため、システムの乱立によるコスト増と事務の非効率化を招いています。共通番号制度が導入されれば、多岐にわたる個人情報を1つの番号で管理できるため、行政コストの削減と事務の効率化が見込まれます。 また、国民の所得を正確に把握することで、所得の過少申告や扶養控除をチェックし、不正還付を防止しやすいなどの点も挙げられます。政府が制度導入を目指す背景には、こうした行政の効率化と給付の適正化によって、2015年に150兆円にも達すると試算されている社会保障給付を抑制する狙いがあるともいわれています。 それに伴い、納税や年金、医療などに関する手続きが簡素化され、行政サービスの向上が期待できそうです。たとえば児童手当の申請について毎日新聞は、「現在は所得証明書や健康保険証のコピーをそろえて市町村の担当部署に申し込むが、制度導入後は、窓口で個人番号カードを提示するだけでよくなる。役所が所得など必要な情報を個人番号で簡単に照会できるためだ」(5/9付)と伝えています。 また、国民にとっても自分の情報を確認・訂正しやすくなるというメリットもあります。自分自身の情報はマイ・ポータル(仮称)で確認できるため、確定申告の際に所得を確認するときなども便利です。