JR日南線の油津―志布志間の将来のあり方、沿線自治体などと議論へ…路線の存廃議論の可能性も
JR九州の古宮洋二社長は28日の記者会見で、宮崎、鹿児島両県を走る日南線のうち油津―志布志間(42・9キロ)について、両県と沿線自治体に対し、将来の地域公共交通の最適なあり方を議論する働きかけを行うと発表した。路線の存廃議論に発展する可能性もある。同社は鹿児島県内を通る指宿枕崎線・指宿―枕崎間(42・1キロ)についても、自治体とあり方を議論しており、2例目となる。 【地図】JR九州が議論を呼びかける日南線の油津―志布志の区間
古宮社長は油津―志布志間を選んだ理由について、人口減少や志布志駅以降は鉄道ネットワークにつながっていないことなどを挙げ、「将来的にどうするのか、地元と一緒に議論しなければいけない。災害も多い」などと述べた。
同区間の1キロあたりの1日平均利用者数は昨年度、JR九州発足後の1987年度から7割以上減の179人で、赤字額は4億円に上った。今後、宮崎県日南市、串間市、鹿児島県志布志市と両県に対し、議論を呼びかける。地域交通法に基づき、国土交通相が設置して存廃を話し合う「再構築協議会」の設置に向けた手続きではないとしている。
発表を受け、宮崎県の河野俊嗣知事は報道陣に「通勤、通学、通院などで路線を利用している方がいる。その足を確保するために鉄道として残すのか、別の交通手段として残すのか、沿線自治体として議論を深めていきたい」と語った。日南市の高橋透市長は「地元の意見を尊重するように求めたい」との談話を出した。
鹿児島県志布志市の担当者は「突然の話で驚いた。引き続き鉄道の存続を希望していく我々の立場は変わらない」と話した。