大学受験生を阻む「MARCH」「日東駒専」の壁 安定志向とコロナ禍のダブルパンチが生む都内私大戦争の行方とは
止まらない受験生の「安全志向」
2020年も受験シーズンが近づいてきました。ここ数年は私立大学の難化が指摘されているため、確実な合格を狙う受験生の「安全志向」が加速しています。 【データ】明治・青学・立教大生の「就職先」を見る その中でもよく取り上げられるのが、MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)と日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の東京都の有名私立大学群です。 2020年度入学者試験では、アメリカンフットボール部の不祥事からの反動で志願者を戻した日本大学を除くと、これらの大学群は例外なく減少しています。 これらの大学群は知名度も人気も高いため、入学を目指す受験生は多いものの、私立大学の定員厳格化の影響で一般入試での合格難度が上がっています。模試でA判定、B判定が出ていても、必ず合格するとは限らないのです。 MARCHや日東駒専はこうした動きの影響を大きく受けます。 成績の上位層ですら容易に合格をつかめない事態となっており、「MARCHを受けても無理」「日東駒専を狙っていたけれど、上位層が目標を下げてくるから撤退」と考えて、志望校を変更する傾向が強まっています。 ところで、受験シーズンになると何かと取り上げられるMARCHと日東駒専ですが、どちらが安全志向の割を食っているのでしょうか。 実はこの3年間の志願者数の推移をみると、このふたつの大学群の違いがはっきりしてきます。
徐々に志願者が減っているMARCH
私立大学の中で、一般的に早稲田大学(新宿区戸塚)や慶応義塾大学(港区三田)、上智大学(千代田区紀尾井町)、東京理科大学(新宿区神楽坂)に次ぐ大学として捉えられているMARCHは、ここ数年の私立定員厳格化の影響を受けています。 例えば、明治大学(千代田区神田駿河台)の一般入試やセンター試験利用試験の志願者数は2018年度入学者試験で12万279人と、MARCHだけでなく全国トップクラスの志願者数を誇っていました。しかし2019年度は11万1755人、2020年度は10万3035人と激減。 3年という短期間で起きたこの激減は少子化の影響だけとは考えにくく、定員厳格化をもろに受けた形となっています。 ただし、中央大学(八王子市東中野)や青山大学(渋谷区渋谷)の2019年度一般入試は前年より4504人(中央大学)、5624人(青山学院大学)と志願者が増えており、「MARCHは軒並み減少が続いている」というわけではありませんでした。 とはいえ、2020年度入学者試験では5校全てが前年度より減少しています。この結果からも、大学入学共通テスト回避の動きと重なり、MARCHを狙っていた層が安全志向に走ったことは否めません。 一方、日東駒専は少し違った変化がこの3年間で起きました。