セレッソ大阪の水沼が史上初の親子天皇杯制覇
自身のイズムをチームへ浸透させ、ともすれば淡泊さが目立ったセレッソの選手たちを戦う集団へ変える一助を担ってくれた水沼へ、尹監督も試合後の公式会見で賛辞を惜しまなかった。 「この1年間が順調だったのは、水沼がいたからだと言っても過言ではない。サッカーのスタイルも含めて、いろいろな面で私にはできない仕事を、見えないところでよくやってくれた」 J1に復帰して1年目をリーグ戦で3位、カップ戦は2つとも制してセレッソの2017シーズンは幕を閉じた。選手たちは2週間ほどのオフに入るが、水沼の去就は未定だ。玉田社長は「もちろん完全移籍の方向で話はしています」と、FC東京へオファーを出したことを明かした。 「自分が生かされるところ、自分を必要としてくれるところを落ち着いて考えたい。ただ、セレッソの初タイトルから二冠目を続けて取れた場に関われたのは嬉しいですし、幸せなことだと思う。ああやってみんなで喜べる場所に行くためにも、一番いい決断をしたい」 プロ10年目を最高の形で終えた水沼は、慎重に言葉を選びながらもこう語った。尹監督が引き続き指揮を執り、才能ある仲間たちにも囲まれ、J1、ともに連覇を目指すYBCルヴァンカップと天皇杯に加えてACLも戦う来シーズンのセレッソに、自身の居場所を思い描いているようだった。 (文責・藤江直人/スポーツライター)