ドリュー・バリモア、『E.T』で子役として成功を収めるも9歳からアルコール、12歳からドラッグに溺れて…
長場雄が描く戸田奈津子が愛した映画人 vol.47 ドリュー・バリモア
字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。
アルコールやドラッグに溺れて
ドリュー・バリモアは、演技の神様とも呼ばれる名優ジョン・バリモアをおじいさんに持つ芸能一家の出身。キャリアの原点といえば、6歳のときに出演した大ヒット作『E.T.』でしょうね。 クローゼットの中にいるE.T.と初めて対面したときのリアクションなんて、本当に上手でした。プロモーションで来日したときは振り袖などを着せられて、とても愛くるしい女の子でした。 それがローティーンから20歳くらいまでは、アルコールやドラッグに溺れて大変な私生活だったようです。そして再びヒット作に恵まれるようになった20代半ばのころ、久しぶりに来日したときに通訳を担当しました。 どんな大人になっているか心配でしたが、10代のとんでもない生活の余韻は何も残っていない。健康的でケロッとしていて、本当にびっくりしました。その上、動物愛護活動に熱心な菜食主義者に変身していて、動物の革も身につけない徹底ぶりだったの。 代わりにビーズの首飾りをつけていて、私にもいっぱいくれたわよ(笑)。
『E.T.』(1982) E.T. the Extra-Terrestrial 上映時間:1時間55分/アメリカ 10歳の少年エリオット(ヘンリー・トーマス)が自宅の裏庭で遭遇したのは、宇宙船に乗り遅れ、たった一人地球に取り残された異星人。E.T.と名付け、兄マイケル(ロバート・マクノートン)、妹ガーティ(ドリュー・バリモア)と協力してかくまうことに。 ところが、E.T.の存在を知る政府機関の科学者たちが彼らを監視していて……。スティーヴン・スピルバーグ監督による傑作SFファンタジー。アカデミー賞では作曲賞など4部門を受賞した。 ドリュー・バリモア 1975年2月22日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身。祖父はジョン・バリモア。大叔父と大叔母、両親も俳優という芸術一家。生後間もなくCMに出演し、4歳で『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(1979)で映画デビュー。 『E.T.』(1982)で主人公の妹を演じ世界的に注目を集める。ところが9歳頃から飲酒とドラッグに溺れるようになり、アルコール依存症のリハビリ施設に入所する。20代からは『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996)『ウエディング・シンガー』(1998)などに出演。製作総指揮を務めた『25年目のキス』(1999)がヒットし、『チャーリーズ・エンジェル』(2000)『50回目のファースト・キス』(2004)など話題作への出演が相次いだ。 『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009)で監督デビュー、製作者としても活躍。TV映画『グレイ・ガーデンズ 追憶の館』(2009)ではゴールデングローブ主演女優賞を受賞した。 語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
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