「誤解が多い」カロリー制限、100歳時代を健康に生きるには 京都の大学教授がアドバイス
大学コンソーシアム京都の大学リレー講座がキャンパスプラザ京都(京都市下京区)で開かれ、京都文教短期大学長・教授の森井秀樹さん(体育学・トレーニング学)が「年齢はただの数字に過ぎない―100歳時代を健康に生きる運動と食」と題して講演した。 森井さんは、日本は平均寿命が延びる一方で、支障なく日常生活を送ることができる「健康寿命」との差が女性で11・4年、男性で8・9年あることを課題に挙げた。筋力の衰えによって日常的な運動量も減り、さらに筋力が衰えるという悪循環に陥る。「60代と80代で急に運動力が落ちる。準備していくことが必要」といい、中高年の筋肉トレーニングを勧めた。 【継続で病気予防】 筋トレによる筋量の増加は▽基礎代謝量を増加して体脂肪を減少▽身体活動量を増やしエネルギー消費が増える―ことによって生活習慣病の予防や改善、骨密度の増加につながるなど健康に寄与する。けがや障害の予防にもなる。 近年の研究によると、週1回の筋トレでがん患者の死亡率が33%減少、週2~3回の継続的な筋トレによって20歳以上の男女で全ての病気による死亡率が23%減ったという。「日本人はマラソンなどの有酸素運動が好きだが、有酸素運動と筋トレは相反する運動」といい、ウオーキングなどの心臓にどきどきを感じる有酸素運動と筋トレの組み合わせを勧めた。 筋トレは、肩凝りや腰痛、膝の痛みも和らげる。効果的な筋肉の部位として、背中の「僧帽筋下部」、太もも裏の「ハムストリングス」、肩の「三角筋後部」を挙げた。自宅で市販のチューブなどを使ってトレーニングができるという。 「筋肉の発達には運動、栄養、休養を繰り返すことが重要」「疲労回復に時間がかかるようになるが、体力はいくつになっても向上する。健康の方向に体が変わっていく」という。トレーニングを続けることで筋量は増えるが「やめたら元に戻る」と注意した。「普段の生活で意識することで変わることもある」として、階段を上るなど日常生活での取り組みも求めた。 【魚や野菜、ナッツ…】 「食べる物で体が変わってくる」といい、食事の大切さについても説明した。誤解が多いこととしてカロリー制限を挙げた。カロリー制限をしても心臓病の発症率は変わらないが、大腿(だいたい)骨の骨密度が減るとの研究結果を示し、カロリー維持の大切さを強調した。 健康に良いとされる食品として「魚」「野菜と果物(ジュースとジャガイモを除く)」「茶色の炭水化物(玄米、ソバ、全粒粉パンなど)」「オリーブオイル」「ナッツ類」を挙げた。「地中海食」が代表例という。食後の血糖値上昇を防ぐためには、カロリー量とタンパク質や油の摂取を増やすことが重要だが、赤肉(牛や豚など)、ハムやソーセージなどの加工肉、白い炭水化物、バターなどの飽和脂肪酸を控えることを求めた。