スティーブ・ジョブズが散歩しまくっていた理由。実は科学的にも「仕事に効く」習慣だった
どうして散歩が効果的?
10分間頭をひねっても解決しない場合、いったん諦めて散歩に出かけると、解決法を見つけるのに理想的な精神状態になりやすくなる──これはいったいどういうメカニズムなのでしょうか? 体の動かし方によって、思考のあり方も変わる、とStoroni氏は説明します(なお、この知見は、泥沼化した対立の解決にも役に立つと、別の神経科学者も主張しています)。 Storoni氏は散歩することのメリットをこう説明します。 人は、適度な緊張感のある精神状態を維持できます。 それは、ぼんやりしたり、居眠りしたり、だるさを覚えたり、携帯電話をぼうっと眺めたり、といった状態ではありません。 同時に、注意の向かう先も、常に動き続けます。歩いているときは、目に入るものも動き続けるので、何か1つのものだけに集中することができません。 周囲の環境からの情報が脳に流れ込むなかで、今抱えている問題についても探究し、違った方向から解決してみようと試みるわけです。 散歩をすると、それが刺激となって、新しいことをいくつも考えつくようになります。その一方で、散歩には、何か1つのアイデアについて、取り憑かれたように考え込むことを阻む効果もあります。 集中力の分散が、かえって良い 考えを反芻することはできません。1つの問題に長い時間、注目し続けることができないからです。歩いている周囲の状況にも注意しないといけませんからね。 このようにStoroni氏は述べます。 散歩に出かけると、あなたの身体は風景の中を動き回り、周囲にも多少の注意を払うはずです(さもないと、街灯の柱にぶつかったり、道路に開いた穴に落ちたりします)。 すると、これがきっかけになって、頭をよぎるさまざまな考えやアイデアに対し、脳は、多少の注意を払うようになります。 こうした状況は、新しいアイデアを生み出すのに理想的な精神状態だということが判明しました。