シリア政権崩壊、大統領はロシア亡命-「暴力と混乱」警戒の声相次ぐ
RANEのグローバルセキュリティー担当アナリスト、フレディ・クーエイリ氏は「政権崩壊は、暫定政府樹立に向けて反体制派各派が争う政治プロセスを引き起こすだろう」と予想。「外国勢力が戦後の勢力均衡を形成しようとするため、暴力が起こりやすい遅々としたプロセスとなる公算が大きい。近い将来に最も可能性が高いのは、不安定で分裂したシリアだろう」と予測した。
アラブ諸国の当局者も権力の空白は危険との認識を示している。
アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領の顧問を務めるアンワル・ガルガシュ氏は8日、バーレーンでの会議で、シリアの領土保全に対する脅威、アラブの世界で続く「混乱と暴力のスパイラル」、そして「過激主義とテロリズム」の可能性について警告した。
シリアの移行期間を形成する取り組みに関与しているサウジアラビアは8日、「混乱と分裂」を警告する声明を発表した。
また、トルコはアサド政権崩壊によって生まれた機会を利用して、トルコ国内に住む数多くのシリア難民を帰還させようとする可能性が高い。そのためにトルコ政府は平和的な政権移行を促している。
トルコのフィダン外相は8日、「われわれは長期にわたり、シリアの安定のために取り組んできた」とし、シリア国民や域内外の関係者と協力し「良好でスムーズな移行期間になるよう努めなければならない」とコメントした。
クウェート大学のバデル・アル・サイフ助教授は「移行期には混乱が予想され、さらには流血すらあり得る派閥争いも想定される」と指摘。「シリアは10年余りの間、正常とは言えない状態が続いており、社会経済的および政治的な衰退に加え、飛び地や勢力圏に分断されている」と述べた。
原題:Syria’s Assad Toppled, Flees to Russia After Rebels Advance (3)、Biden Sees ‘Moment of Opportunity’ and Risk on Assad’s Ouster、 Netanyahu: Fall of Assad Regime May Help Advance Hostage Deal、Syrian President Assad Toppled After Lightning Rebel Advance (1)、Few Mourn End of Assad, But His Fall Unsettles a Restive Mideast(抜粋)
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Peter Martin, Henry Meyer, Fiona MacDonald, Sam Dagher