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生物がほとんど存在しない"100年後の海"が式根島にあった!

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地球の気候変動は陸上だけの問題ではない。海の中も二酸化炭素によって酸性化が進んでいる。その未来の海の姿がすでに式根島に存在した! 【画像】現在の海と式根島の御釜湾 * * * ■海洋酸性化で生物絶滅の危機!? "100年後の海"が式根島にあった。 そこはサンゴの姿はほとんど見られず、岩に小さな藻類が生えているだけの、まるでモノトーンの世界だった――。 この"100年後の海"を見つけたのは、筑波大学・下田臨海実験センターの研究チームだ。そのひとりの和田茂樹助教に話を聞いた。 ――なぜ、ここが"100年後の海"だといえるのですか? 和田 その前に現在の海洋環境のことを少し説明させてください。今、地球の海では"酸性化"が進んでいます。 人間の産業活動によって二酸化炭素が排出され、地球温暖化が進んでいることはご存じだと思いますが、その排出された二酸化炭素の3分の1から4分の1は海に吸収されているんです。 十数年前までは「二酸化炭素が海に吸収されているのなら、温暖化が抑えられるからいいじゃないか」と思われていたんですが、最近は「海水の二酸化炭素濃度の上昇やpH(水素イオン指数)の低下は海洋環境に大きな影響を及ぼす」といわれています。 産業革命前(約300年前)の世界の海水の平均pHは8.2でした。そして、現在は8.1です(pH7が中性で、海は弱アルカリ性)。「なんだ0.1の差か」と思われるかもしれませんが、この0.1という変化が海洋生物にとんでもない影響を及ぼします。アメリカでは、すでにカキが殻を作れなかったという例が報告がされています。 さらに今世紀末(80年後)にはpH7.8くらいまで下がると予測されています。pHを7.8まで下げた環境で貝やサンゴなどを飼育した実験データをほかの研究グループが発表しているのですが、炭酸カルシウムの骨格を持つ貝やサンゴなどの生き物はダメージが大きく、殻がボロボロになったことが確認されています。 こうした直接的な影響だけでなく、世界の魚の約25%はサンゴに依存して生きています。サンゴがなくなると、そうした魚たちの行き場が失われてしまいます。 現在の地球の海は、このような状況にあるのです。 ――温暖化の影響は大気だけでなく、海中にもあるということですね。 和田 そうです。さらに言えば、「海洋酸性化」に加えて、海の温度が高くなると酸素が溶けにくくなり、「海洋貧酸素化」が起こります。すると特に深海にいる生物に酸素が届かなくなり、深海環境に大きな影響が出てくる。 実は、海の「温暖化」「酸性化」「貧酸素化」という現象は、地球の歴史のなかで最も深刻な大量絶滅のときに起こったといわれています。 約2億5000万年前の古生代と中生代の間に、やはり海の「温暖化」「酸性化」「貧酸素化」が進み、海洋生物のかなりの割合が絶滅したといわれています。 今の海の状況が部分的に、そのときと似ているのではないかと危惧されているんです。

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