セ新人王の2位票「阪神・大山49票」「横浜DeNA浜口27票」を巡りファン疑問
ただ「地元票」「愛情票」というものは存在する。キャンプから取材をしてきて、その頑張りを見てきた担当記者が、「評価に迷うなら地元選手」「選手の励みにしてあげるために1票を入れてあげよう」と投じる票だ。投票は、記名だがオープンではないため、誰が誰に入れたかなどわからない。知らぬうちに、その「地元票」「愛情票」が重なるということもありえないわけではない。 だが、一方で関西のベテラン記者の一人は、「阪神しか取材したことのないテレビの投票資格者や番記者が狭い視野しか持てず大山に入れたということも考えられる。阪神の選手は、関西では過大評価され大きく取り上げられる。ある意味、典型的な地域密着球団だから世界観が閉鎖的になる傾向もある」とも指摘した。 これは阪神に限らず、ソフトバンク、広島、中日、楽天などでも起きている現象だが、地元の局や地元紙が選手を特別扱いして必要以上の形で取り上げることで過大評価されてしまうのだ。 49票の真相のほどは、よくわからない。ただ、前述した球界OBは、「ファンの誤解を招き、賞の権威が揺らぐような投票結果になるのなら、そもそもの選出方法を見直さねばならないのではないか」とも訴えた。 例えば、あまりに根拠の薄い投票をした記者の投票権を見直すとか、東西記者クラブの野球分科会に所属している記者以外にも、投票権を与えて幅を広げるとか、或いは、「自チーム選手に入れない」という条件やプロ年数などで投票資格を絞った上での選手間投票を取り入れるなど改善手段はいくらでもあるだろう。まず今回の投票結果については真剣に議論を交わすべきである。 一番の被害者は予想外の49票で、とんだ騒ぎに巻き込まれた阪神の将来の“真の4番候補”であるドラフト1位なのかもしれないが。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)