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介護離職による経済的損失は年間6500億円。個人の生活水準低下に加え経済全体への影響も大

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 家族の介護を理由に仕事を辞める、いわゆる「介護離職」について、経済的な損失が年間6500億円に達するとの試算を経済産業省がまとめました。介護離職は、離職者や要介護者の生活水準の低下という悪影響をもたらすだけでなく、経済全体に対する損失が大きいことがあらためて確認された形です。  現在、日本で介護保険によるサービスを受けている人は約640万人となっています。日本の65歳以上の人口は3522万人ですから、単純計算で高齢者の18%が要介護あるいは要支援の対象ということになります。一方、就業しながら介護をしている人は350万人いるとされており、年間10万人程度が、仕事を続けられなくなり、介護を理由に職場を離れています。  介護サービスを受ける人の数は一時期、増加ベースが鈍化していましたが、最近は再び上昇ペースが加速。今後は介護サービスを受ける人の数の増加が懸念されています。これに伴って仕事と介護の両立を迫られる人や、仕事を辞める人の数も増える可能性が高いと考えられます。  これまで政府では介護離職を防ぐため、育児・介護休業法の改正などを行い、介護休業の範囲を拡大するといった施策を行ってきました。例えば2017年の法改正では、介護の対象となる家族1人につき、3回を上限として通算93日まで取得できるようになったほか、半日単位の介護休暇取得も可能となりました。しかし、現状の制度だけでは家族の介護に完全に対応できるわけではありません。  これまで介護離職の問題は介護する家族や要介護者の生活水準という社会的な問題でしたが、介護離職が増加すると人手不足に拍車がかかるなど経済的にも大きな問題になると認識されるようになってきました。  経済産業省が、現時点での介護離職者数(10万人)を基準に、平均所得や労働分配率などからおおまかな試算を行ったところ、介護離職による経済的な損失は6500億円に達することが明らかとなりました。  ここまで影響が大きいということになると、個人的な問題というわけにはいかなくなります。政府による支援策を拡充するのはもちろんのこと、企業にとっても重要な経営問題として認識していく必要がありそうです。  日本の場合、雇用の流動性が乏しく、一旦離職してしまうと再就職が極めて難しいという現実もあります。離職を防ぐのはもちろんのこと、会社を辞めてブランクがある人は採用しないという、昭和的な企業の姿勢も改めていくべきでしょう。 (The Capital Tribune Japan)

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