なぜNHKは元TOKIO山口達也を「元メンバー」と呼ぶのか?《酒気帯び運転で略式起訴・罰金35万円》
道交法違反(酒気帯び運転)罪で東京区検に略式起訴され、東京簡裁が罰金35万円の略式命令を出した元TOKIOの山口達也(48)の事件は一段落を迎えたが、それと同時にメディアにちょっとした異変も見られた。山口の呼称が媒体によって微妙に違うのだ。「容疑者」呼称のままのメディアもあれば、「さん」づけ、果ては「元メンバー」という曰く付きの呼称を採用したメディアもある。(原稿の性質上、敬称略します) 【画像】頭を丸刈りにしていた山口達也 逮捕・釈放された9月とは打って変わって静かな扱いだった。11月18日、「略式起訴」のニュースが短い枠で淡々と報じられた。 翌19日、山口本人の謝罪文も発表。アルコール依存症に悩んでいたことも認めた。 だが、肝心の本人の呼び方はばらけた。 NHKはじめテレビ、ほとんどの全国紙、スポーツ紙は「山口達也元メンバー」とする一方、読売新聞は「山口達也容疑者」と逮捕時の呼称のまま、共同通信は「山口達也さん」、とさん付けで報じた。 こと呼称に関しては横並びが多いメディアがここまで多彩な表現をするのも珍しい。特に「元メンバー」なる呼称は普段使われることはなく、違和感があるが、由来は「新しい地図」の稲垣吾郎がSMAP在籍時に逮捕されたときに遡る。
「メンバー」呼称の誕生
稲垣が逮捕されたのは2001年8月のこと。駐車禁止場所に駐車中、警察官の呼びかけを振り切って発進したことから道交法違反と公務執行妨害の疑いで逮捕された。2日後に釈放されたとき、テレビ上、稲垣容疑者は稲垣メンバーに変わった。
「芸能事務所への忖度ではないか」と話題にもなったが、厳密に言えば忖度でも何でもない。メディアの呼称の基本原則に沿っているといえば沿っているからだ。 一般に販売されている共同通信社の記者ハンドブックにも、基本的に、逮捕時は容疑者呼称、釈放時は肩書き呼称、と定められている。例えばどこかの会社のA社長が逮捕されれば「A容疑者」、釈放されれば転じて「A社長」となる。 だが、稲垣のような芸能人に肩書きはなく、「メンバー」という肩書きが編み出されたのが実情のようだ。 そうであれば、逆に釈放後の呼称は元メンバーで統一されてもよさそうなものだが、そうもいかない背景には「容疑者」呼称の歴史がある。