日本新金属、「高機能粉末」の販売量を30年度に2倍へ。電子・電池分野で成長市場捕捉
三菱マテリアル子会社で金属やセラミックスなどの粉末を製造・販売する日本新金属(本社・大阪府豊中市、社長・岡田義一氏)は2030年度までをめどに、タングステンを主体とする高機能粉末の販売量を19年度比で2倍に拡大させる。電子・電池関連分野で情報通信や電動車などに関する成長市場の捕捉を目指す。顧客と密に連携した開発に引き続き注力するほか、成長市場に対応する生産能力・品質力強化の先行投資も拡販の武器になる。 電子関連市場などを主要な顧客基盤とする高機能粉末事業の拡大は、三菱マテリアルグループが加工事業で掲げる重点施策の一つ。日本新金属では市場で優位性のある顧客の競争力をさらに高めるため、品質要求に徹底対応した製品を開発・投入し続けるほか、新規分野開拓や新材料模索にも力を入れる。岡田社長は「粉末事業に特化したメーカーとして不純物低減・高純度化や粒子形状制御など幅広い提案をして、求められる品質に合わせていく開発に注力する」と話している。 電子分野では半導体関連材料や電子部品材料としてタングステン粉が、液晶パネル材料にモリブデン粉がそれぞれ用いられている。半導体関連材料や配線用途の電子部品材料は、データセンター増設や第五世代移動通信システム(5G)普及などに伴う情報通信関連での需要拡大を見込む。液晶パネル材料はハイエンド液晶パネルなどの市場に対応し、性能向上に貢献する製品の開発と販売を進める方針。電子分野での成長市場に対応するため、同社では19年度に能力増強を実施した。 電池分野では二次電池の性能を高める添加剤としてタングステン化合物の粉末が採用されている。今後は車の電動化に向けた需要を捕捉。加えて再生可能エネルギーなどを蓄電する定置式電池でのニーズにも期待する。安全性の観点から電池向けで要求される高度な不純物管理に対応するため、同社では18年度に電池材料粉末の専用ラインを整備。製造設備の専有化や一部装置の増設などで他製品を製造しないラインを構築し、不純物を徹底的に排除している。