グーグルAI幹部が明かす「AIと共存」に2つの道筋 「Google DeepMind」で実現してきたこととは?
OpenAIのGPT-4(ChatGPT)が、AGIの初期段階に相当するとの議論もあるが、アジャラプ氏は「AGIについて、具体的な意味のある言葉ではない」との考えを示した。 「AGIという存在について、その定義は人々の間で分かれています。また、ある日突然、AGIが実現するわけではありません。また、どのようなデバイスや環境から利用するのか? どのように人々の役に立つのか? といったユースケースの定義も必要になります」(アジャラプ氏)
また、アジャラプ氏がAGIについて懸念しているのは、悪意を持った人の手にも等しく優れたAI、もしくはAGIが渡ることになる場合、いかにして規制をするのかという問題も存在している。 そこでグーグルとしてのアプローチは、「いかに問題解決をするか?」に着目してAIを開発・活用していくことに集中しようというアイデアだ。これが「AIエージェント」という考え方である。 「エージェントは、ある目的のために、問題を解決してくれるAIの姿と言えます。
人々はAIによる問題解決を求めていますが、AIが人間のように振る舞ったり、対話ができたりすることを、必ずしも求めているわけではありません。人々のAIへの期待は、本当の人間のようなお喋り相手を求めないと考えています」(アジャラプ氏) AIエージェントがチャット型のAIと異なる理由について、アジャラプ氏は、「人間は一人ひとり異なっており、AIからみれば、一貫性を欠く主人となってしまう」と指摘する。 そのため、現実の世界において、より機能的で、誰がやっても同様に効果が得られるように、機能に特化した問題解決に取り組むエージェントとしてAIを活用していく姿を目指すべきだとの考えだ。
そして、AIエージェントを作るのは、グーグルではなく、問題を抱えている我々だという。すでにGoogle Cloudでは、「Vertex AI Agent Builder」といわれる、ノーコードのAIエージェント構築環境を、企業向けに提供している。 具体的には、コールセンターにおけるユーザーへの回答をすぐに見つけ出すAI、旅行先や滞在先のおすすめと予約を実現するAI、メールなどの文章やコードを自動作成するAIなどが挙げられる。