法政大学 長山一也監督【前編】 「困難を乗り越え、選手はひと回りもふた回りも成長した」
1922年に学友会蹴球部として創部されて以来、全日本大学サッカー選手権大会優勝や、関東大学サッカーリーグ1部優勝など、数々の大会で輝かしい成績をおさめてきた法政大学サッカー部。近年では2017年の総理大臣杯優勝、2018年アミのバイタルカップ優勝、2019年総理大臣杯準優勝、天皇杯ではJ1のガンバ大阪を下してベスト16進出、またプロへも数多くの選手を送り出すなど、黄金期を迎えようとしている。2023年の創部100周年を間近に控え、名実共に「大学日本一」を目指す法政大学サッカー部について、長山一也監督に話を伺った。 【フォトギャラリー】法政大学サッカー部 ーーまずご経歴を簡単に教えていただけますでしょうか? 出身は鹿児島県で、中学のときは2年先輩に現ジュビロ磐田の遠藤保仁選手がいました。高校は山梨の帝京第三高校から法政大学に進みました。大学卒業してすぐに静岡FCに入団して、その後にJFLのアローズ北陸に入団しました。で、アローズ北陸がカターレ富山に入団して選手としては2010年のシーズン終了時に現役を引退しました。その後は2011年からカターレ富山で普及育成コーチ、2013年はU-15のコーチになりまして、2014年から法政大学の監督に就任しました。 ーー指導者を目指したきっかけなどを教えていただけますでしょうか? 親が福祉関係の仕事をしていまして、人のために働くという姿を子どもの頃からずっと見ていました。そういった影響もあって、自分でも将来は、何か人の役に立つ仕事をしたいと考えていました。それが指導者になるきっかけだったと思います。 ーー新型コロナ感染拡大の影響で通常とは異なるシーズンだったと思いますが昨シーズンを振り返っていただけますでしょうか? コロナ禍という状況の中、学生たちもそうですし、我々スタッフも色々な意味で非常に難しいシーズンでしたね。10月下旬には部員の半数近くが新型コロナウイルスに感染したことが明らかになりまして、部の活動も停止になり、合宿所に住む部員やスタッフは外出禁止になりましたし、自宅待機になった学生もいたりして、本当に我慢が強いられたシーズンではありました。それでもその活動停止になった後、短い準備期間と、出場するには負けが許されない厳しい状況下において、全国大会(#atarimaeniCUP)の出場権も選手たちが頑張って獲得した点は本当に凄かったと思いますし、活動復帰後のリーグ戦も大晦日まで戦ったんですけど、12月だけで9試合消化して1敗しかしなかった(6勝2分け1敗)というのも本当に頑張ってくれたと思います。その後の#atarimaeniCUPも、決勝で敗れてしまい結果には結びつかなかったですけれども、内容的には素晴らしいサッカーを展開できて、法政のサッカーをしっかりと示すことが出来たので、選手たちは困難な状況を経験したことで、逆にそれをプラスに変え、ひと回りもふた回りも成長することができたと思いますね。いい自信にもなったと思います。 ーーリーグ戦、カップ戦を含めて、今シーズンでターニングポイントとなった試合などはありますでしょうか? 活動停止明けのリーグ戦の中央大学戦でしょうか。開始早々に失点して前半を0-2で折り返したんですけど、ピッチから戻って来る時の選手たちの表情からは「厳しいな」という思いが感じられました。その試合の時点では、ウチは10位で、その試合に負けていたらチーム自体の調子もズルズルと落ちてしまって2部降格も考えられるという可能性があった中で、ハーフタイムでは「コロナで活動停止になり練習もできず、外出も許されない本当に苦しくて厳しい状況を乗り越えられたんだから、2点差なんて絶対に逆転できる。これからどんなプレーを見せられるか、どんな振る舞いができるのかが大事だぞ。試合ができるという状況に感謝をしよう」というような話をしたんです。すると選手たちは後半に素晴らしいプレーを見せてくれて4点取って、見事に4-3で逆転勝ちしてくれました。この試合はまさにターニングポイントとなった試合だったという気がします。この試合に勝てたことで、その後のリーグ戦の好調にも繋がりましたし、#atarimaeniCUPの決勝進出にも繋がって行ったのかなと思います。 次回は「チームに求める選手像」についての話などを紹介する。