【ウインターカップ2020】“追われるプレッシャー”に打ち勝ち 真のチャンピオンを目指す東山
東山は今年、勝負の年を迎えている。昨年のウインターカップ準決勝の福岡第一戦を記憶している方も多いのではないだろうか。河村勇輝(現東海大1年)を擁し、優勝候補の大本命と目された福岡第一に対して前半で10点のリードを築き、『本当に第一を倒すのではないか?』と思わせる見事な闘いぶりを見せた。 結果として、後半で逆転負け(59-71)を喫したが当時から主力だったポイントガードの米須玲音と230cmを超える驚異のウィングスパンと高い身体能力でインサイドの君臨するムトンボ・ジャン・ピエールにスコアラーの中川泰志を加えた3年生トリオは健在。そこに昨年の大会でケガの中川に代わって大きくステップアップした西部秀馬、シューターの堀田尚秀という2人の2年生を加えたスターターで今シーズンを戦う。 <動画>【ウインターカップ2020】 ENEOSサンフラワーズから選手へ応援メッセージ「がんばれ高校生!」 今年のチームの特徴について大澤徹也コーチ、そして米須が口をそろえるのが「昨年以上にサイズアップしてどこからでも点が取れる」ということだ。米須の入学以来、彼のコートビジョンとパスセンスを生かすべく、これまで以上に走るバスケットに磨きをかけてきた東山は、米須にリードされるように年々得点力を増している。 大澤コーチが絶大な信頼を置く司令塔の存在が東山にトランジションという新たな武器を与えたのだ。実際、得点力により磨きがかかった2月の近畿新人大会ではトーナメントの4試合全てで100点ゲームを記録し、決勝では府内のライバル洛南に対して100対66と圧倒。新チームに期待を持たせるスタートを切った。 しかし…。 新型コロナウイルスの影響で試合や練習が行えない中、例年、綿密な練習の上に成り立ってきたハーフコートオフェンスの完成の遅れなど、さまざまな出来事が起こった中で歯車が乱れ始める。当然、ほかのチームも同様に練習ができない期間が長かったが、東山にとってはこの期間がより痛手だったようだ。また、昨年の大会で注目を集め、今年の大本命と目されるがゆえの見えないプレッシャーも彼らにのしかかった。「相手と戦っているというよりも自分たちと戦っているような感じでした。勝たなければいけない宿命というか、自分たちがやっとそういうチームになってきたという自覚とそれに打ち勝たないといけないプレッシャー、追われるチームにしか味わえないようなプレッシャーの中でやっていたと思うんです」と大澤コーチ。