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新型コロナ、なぜこんなに「無症状」が多いのか?

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ナショナル ジオグラフィック日本版

年齢、免疫系、遺伝子…原因の仮説はさまざま、感染抑える鍵にも

 新型コロナウイルス感染症で厄介なのは、誰が感染を拡大させているのかが見えづらいことだ。 ギャラリー:人類が地球を変えてしまったと感じる空撮写真 10点  土曜日の晩には「元気」だったので大勢の人と接したが、月曜日になって咳、熱、疲労感に襲われ、感染していたことに気がついた。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、そんなふうに症状が出る前の人がウイルスをうつすケースは、感染例のおよそ半数を占める。  だが、さらに実態をつかみにくいのは、ウイルスに感染していても全く症状が出ない人のケースだ。CDCによれば、全米の感染例のうち、そうした無症状の感染者は4割に上るという。  発症前(pre-symptomatic)に他人に感染させる人や、無症状(asymptomatic)の人がなぜこんなにも多いのか。知らない間に感染が広がるのは、インフルエンザやかぜなどのウイルスも同じだ。しかし、新型コロナウイルス感染症では極端に把握が難しく、したがってコントロールも難しい。  問題の一つは、病状の現れ方がよくわかっていない点にある。高齢者のほか、肥満、喘息(ぜんそく)、糖尿病等の既往症を抱えている人の方が、重症になるケースが多いことは明らかになっている。しかし、感染しても重症化を免れる人についてはよくわかっていない。  現在、無症状あるいは軽症になるメカニズムや、そうした人からどのように感染が拡大するかを予測するモデルについて、競うように研究が進められている。今のところ、遺伝的要因や年齢、免疫系における個人差が複合して、症状の重さを左右しているのではないかとの結果が出てきている。

無症状者を把握する難しさ

 無症状での感染拡大を調査しようにも、そうしたケースがどれくらいの頻度で起こっているのかを把握することが最大の難関となる。どこも調子が悪くない人は、そもそも検査に行くこともないだろう。  中国やアイスランドのように広範な検査を行った場所でさえ、信頼性の高いデータは少ない。理由の一つは、検査を受けた人が後になって発症したかどうかを、十分な期間を設けて追跡する調査が行われていないためだ。7月22日に学術誌「Nature」に掲載された論文では、パンデミック発生当初の中国、武漢においては、発症前のウイルス保有者による感染を保健当局が知らなかったため、感染例の87%が見逃されていたと推測されている。  症状が全く出ない人による感染を調査することは困難なため、そのような人にどのくらいの感染力があるのかは不明瞭だ。CDCは、無症状者の感染力は症状があるケースの75%ほどではないかと推定している。これは、症状の有無や程度によって、体外に排出されるウイルスの量や感染力にどのような違いあるかについて調べた研究に基づいている。だが同時に、この数字について注意を促してもいる。いわゆる「ウイルス排出」の仕組み自体があまり解明されていないからだ。  無症状の人はそもそもウイルスの量が少ないのかもしれない。あるいは、コウモリのような免疫系を持っているのかもしれない。「コウモリはウイルスを保有していますが、全く症状が表れません。特殊な免疫反応によってウイルスを抑え込んでいるようなのです」。米アイオワ大学教授で微生物学と免疫学が専門のスタンリー・パールマン氏はそう説明する。  こうした説は、中国で最近行われた研究の解明に役立つかもしれない。6月18日付けで学術誌「Nature Medicine」に掲載された論文によれば、無症状の人は全般的に免疫反応が弱く、ウイルスと闘う武器である抗体をあまり作らないことが示唆されたという。

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