三日月大造・滋賀県知事に聞く「交通政策は長寿社会の鍵」(全文3完)
北陸新幹線延伸、米原ルートはかなわなかったが
──12月14日に北陸新幹線の延伸は小浜ルートで固まった。県内を走る在来線であるJR湖西線がJRから切り離され、維持していくのも大変になるかもしれない。必ず維持していくイメージなのか。新幹線が米原ルートではなくなった影響についてどう考えるか。 僕たちは国家財政が限られていて、そしてやっぱり高速鉄道ネットワークはつながって何ぼですし、つなげるなら早くつながったほうがいい。限られた予算を使いながら、早く整備する、確実に整備するっていう意味で、米原ルートがいいんじゃないかと言ってきました。合理的だったと思うし、多くの共感も得てきました。 ただ、残念ながら、与党の検討委員会で米原ルート以外のルートが適切だという提言をされて、そういう意味では残念です。残念なんですけれども、今おっしゃったように、じゃ、他のルートになったとしても北陸圏と中京圏と関西圏を結ぶ結節点としての米原地域の役割っていうのもあるので、それらをさらに磨いていくということだとか、あとは、他のルートになったとはいえ、並行する在来線だと位置づけられて、JRから経営分離される可能性がある。そういう線区がそうならないように、引き続きJRでちゃんとやってください、JRのネットワークをきちんとこれからも維持、活性化させていきましょうという、そういう取り組みをしなければいけない。だから、ルートは一定の方向性に進むのかもしれませんけれども、まだまだ関連する課題は多くあるので、引き続きこの問題にはしっかりと取り組んでいきたいなと思っています。 ──この問題というか、ご自身は交通関係にお詳しいかと思いますので、力を入れて変えていくという。 そうですね。私は社会人になった最初の原点が鉄道員でしたし、電車の運転士もしていました。電車の運転士の資格を持っている知事は私だけ。あれは国家資格、免許なのでね。今でもその時の緊張感を思い出すことはありますけれども。でも交通政策っていうのは、これからの長寿社会、そして成熟社会の非常に大事なツールだと僕は思っているので。ましてや、この人口減少をどう食い止めて、そして、どう豊かさやゆとりやつながりを作っていくのか、作り直していくのかっていうときの非常に大切なキーアイテムというか、だと思っているので、これからも充実させていきたいなと思っています。