ミラクル支えた新庄監督の手紙 くも膜下出血から回復 日本ハム・小村球団社長が復帰へ
プロ野球北海道日本ハムとファイターズスポーツ&エンターテイメント(FSE)の社長、小村勝(こむら・まさる)さん(58)がくも膜下出血で倒れたのは6月10日のことだ。死の淵から「奇跡」と医師が呼ぶ回復を見せ、クライマックスシリーズ(CS)への戦いが佳境を迎える今月下旬、業務に復帰する。入院生活を支えたのは、新庄剛志監督(52)が手術直後に届けた直筆の手紙だった。 【動画】エスコンフィールド北海道で初の球宴 試合開始前に「ブルーカーペットショー」
■死亡率50%超
「意識が戻ったら野球が観たいと思ってiPad(アイパッド)持って来てみました すぐに治ると思うので治ったら返して下さいね」。便箋はA5判。昏睡(こんすい)状態の小村さんを心配する思いが、新庄監督らしいユーモアでくるまれていた。 小村さんは倒れて数日後に目覚め、手紙を読んで目元をぬらした。「ほんまにありがたく、うれしくて支えられました」 6月10日正午。小村さんはエスコンフィールド北海道(北広島市)の球団事務所で歩行中、前のめりに突然倒れた。 自覚症状はなかった。2023年の社長就任からほぼ休みなく日本中を駆け回った。「健康に根拠なき自信と過信があった」 最初に搬送された病院には手術が難しいと断られた。死亡率50%超の重い症状。病院から球団関係者に深刻な現実が告げられる。「亡くなるかもしれません」。家族が本州から急ぐ。永遠の別れを覚悟した長女は機内でむせび泣いた。
■14時間の手術成功
転送先の札幌市東区の札幌禎心会病院には脳の名医がそろっていた。14時間の大手術は成功。球団、FSEの全役員が翌午前4時の終了まで見守った。「ファイターズ、病院のみなさんに命を救ってもらいました」。小村さんは感に堪えない。 新庄監督は何度も病院に通った。歯ブラシなどの入院セットを贈った。リハビリ中の転倒に気をつけてほしいと選手サイン入りヘルメットを届けた。「さぁリハビリ楽しんでいきましょう」と温かな言葉を書き添えて。