川崎フロンターレ、劇的初タイトル(2) 可能性を秘めた“新戦力の融合”
■2月20日/FUJI XEROX SUPER CUP 2021 川崎フロンターレ―ガンバ大阪(埼玉) ■【画像】劇的勝利を収めた川崎フロンターレの写真全36枚■ ボールを圧倒的に保持し、三笘薫が2ゴールを奪いながらも後半に入って失速。昨年3度戦って無失点だった相手に2点差から同点に持ち込まれる苦しい展開となった富士ゼロックス・スーパーカップの川崎フロンターレ。 実は川崎は、富士ゼロックス・スーパーカップでの戦績は必ずしも良くない。意外にも、過去に2度しか出場経験がなく、その2試合も1勝1敗。C大阪に2-3で敗れ(2018年)、浦和レッズに1-0で勝利している(2019年)。ここ数年でその強さを列島中に見せつけている川崎だが、新シーズンの前哨戦での勝利回数はわずかに1回しかない。 かつて“シルバーコレクター”と揶揄された勝負弱さをまたしても露呈してしまうのかと思われたが、リーグ戦で3敗しかしなかった昨季の強さを、埼玉スタジアムのピッチでも見せつけた。強力外国人ストライカーの脅威にさらされた直後、鬼木達監督も長谷川竜也と小林悠という攻撃のカードを2枚切った。
その長谷川は左サイドをドリブルで切り裂き、小林はガンバの裏に抜けようとする動きを見せてそのディフェンスラインを下げさせることに成功。前のめりになるガンバ攻撃陣と圧力を受けるガンバ守備陣とでチームを分断させ、中盤でボールをつなごうとした。その結果が、後半ロスタイムに生まれた小林悠の劇的な逆転ゴールである。 シミッチに代わってアンカーに入った塚川孝輝が、アクシデントで途中交代。その代わりにアンカーに入った田中碧から、レンタル復帰した遠野大弥に縦パス。その遠野が小林に出したスルーパスが、アシストになったのだ。 シミッチは出場した64分間で安定したプレーを披露し、塚川も落ち着いたボールのつなぎを見せた。また両者ともに高身長を生かし、中盤における空中戦でも優位性を保持した。また、J2福岡に武者修行に出ていた遠野は、レンタル先で得た実戦機会が川崎に貢献できることを証明した。
さらに、大卒ルーキーの橘田健人は64分にピッチに立つとファーストタッチでダブルタッチを見せる強心臓ぶりを見せ、出場時間を通して積極的なプレーを披露した。昨年、三笘と旗手怜央が大卒ルーキー離れした活躍を再現してくれそうな予感を感じさせた。 川崎の今年の補強はややおとなしいように見えたが、新戦力の期待値はとても高く、そして、早い段階で融合しそうな期待感もある。“1試合3得点”を掲げる川崎の本気度は、このスカウティング能力にも表れている。 川崎のリーグ開幕戦は2月26日、横浜Mとの神奈川ダービーだ。首位奪還に燃える2019年王者とどのような戦いを見せるのか、試合内容にも注目だ。
サッカー批評編集部