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トヨタ社長はなぜコロナ危機でも「深刻に考えずに」と笑ったのか

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プレジデントオンライン

新型コロナウイルスの影響で自動車業界は危機にある。だが、トヨタ自動車は直近四半期決算で黒字を計上した。なぜトヨタは何があってもびくともしないのか。ノンフィクション作家・野地秩嘉氏の連載「トヨタの危機管理」。第5回は「現場社員の働き」――。 【この記事の画像を見る】 ■トヨタの危機管理は他社とどう違うのか  危機管理と対処は実はどこの会社でもやっていることだ。そして、どこも特別、変わったことをやるわけではない。  たとえば……。  担当者を決める。会議を開く。情報を収集する。対策を決めて、実行する。  これに尽きる。  どの会社でも、こうした対処で危機を乗り越えてきた。トヨタだって、原則的なやり方は同じだ。  ただし、トヨタは他社がなかなか真似できないことをやっている。たとえば、「社長や幹部に報告書を上げない」のは好例だ。トヨタでは社長や幹部たちは大部屋にやってきて、自ら危機の状況と対処を情報収集する。  社長自らが主導しない限り、こんなことはできない。トヨタは危機を乗り越える際、ちゃんと自分たちの武器を持って戦っている。そして数々の危機を乗り切ってきただけに、武器の種類もまた豊富だ。  本稿ではトヨタの危機管理が他の会社とはどこが違っているのか。特徴を抜き出して、解説する。 ■「深刻に考えず真剣に」という言葉の意味  「深刻に考えずに真剣にやろう」  この言葉は社長の豊田章男が3月19日、自動車工業会の定例会見で述べたものだ。新型コロナ危機に際して、トヨタが社会に向けてリリースした第一声と言える。実際にはこんなことをしゃべっている。  「(新型コロナ危機になった今)我々自身が何をしていかなければいけないか。 あえて、前向きな言葉を使わせていただければ“改革を一気に進めていく時”と捉えたいと思っております。 『深刻にならずに、真剣に。』『みんなで助け合って、感謝しあう。』 道徳の授業のようですが、このトンネルの先に光を見出すためには、みんなでこれをやっていくしかないと考えております」  深刻ぶって危機に対処すると、いいアイデアが出てこない。「苦しい時には無理やりでも笑え」という言葉があるように、人は「困った」と口に出すと、本当に困ってしまうのである。  「困った」「どうしよう」と口に出すだけで思考は停止する。豊田が語ったように、「深刻にならずに真剣に」打開策を考えることだ。考える時も眦(まなじり)を決し、全身に気合を込めることはない。

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