性欲満たすため女の子の下着を盗み…そして「理由も分からず知能検査受けさせられ…」窃盗などの罪に問われた男が法廷で語ったこと【後編】
◇◇鑑別所で行われる「知能検査」とは
裁判の中で、Y男被告の父親が証言した、少年鑑別所で行われた「知能検査」とは、一体どのようなものなのだろう。 法務省などによると、保護観察中の人物に対しては、同意を得た上で、少年鑑別所による知能検査や心理テスト、面接などを行うことは確かにあるという。 対象人物の性格や特性を把握するのが目的で、検査から得られた結果は、保護司などの関係者や、場合によっては本人にも共有された上で、その後の処遇方針について検討するのに活用される。
◇◇大津の事件受け実施件数は増加見込み
今年5月に滋賀県大津市で、保護司の男性が、担当していた保護観察中の男に殺害される事件が発生して以降、国は、保護観察付きの執行猶予判決を受けた人物に対しては、原則として全員に検査を行う方針を打ち出していて、実施件数は、今後増加することが予想されている。 心理学の専門知識を持ち合わせた技官を擁する少年鑑別所では、図形や数字など非言語の設問による知能検査のほか、文章から情緒の特徴などを観察する性格検査など、様々なテストを実施することができ、時には、本人も知り得ない「心の闇」にたどり着くこともあるそうだ。 「ただ、専門的な検査を実施しても、全ては分からない。それはあくまで本人を知る上での一資料に過ぎない」
◇◇保護司との不和 発生したならば
過ちに手を染めてしまった人を社会生活の中で更生へと導くものは、やはり保護司と重ねる対話にほかならないという。 ではもし、保護観察中の人物と、保護司の「相性」が悪い場合には、どうなるのだろう。 「それは交代することになる。見極めが難しいところはあるが…。そもそも、保護観察の目的は『二人三脚での更生』なので、それに相応しい環境を整えることを行うのは、保護観察所の役割だ」 「そして保護司というのは、『地域の中で暮らす』ひとりの民間人のボランティアに過ぎない。活動する上で、地域の人たちとの関係性を重視していると思う」
◇◇「性犯罪再犯防止プログラム」とは
また、性的な嗜好に起因する様々な犯罪に手を染めてしまった人たちに対して行われる、「性犯罪再犯防止プログラム」についても話を聞いた。 刑務所から仮釈放された人と、保護観察付きの執行猶予判決を受けた人に対して行われるもので、強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ・準強制性交等の罪に問われた人のほか「罪名のいかんに関わらず『犯罪の原因・動機が性的欲求に基づく者(下着窃・住居侵入等)』」が対象となる。 プログラムは、刑務所や少年院のほかに、仮釈放された人や保護観察処分となった人に対しても行われる。 その内容は、医学的な「認知行動療法」に基づいたものとなる。 性犯罪に繋がる可能性のある「認知の偏り」などを自覚させた上で、事件を振り返りながら問題点を深掘りする形で進められていく。そして、原因や再犯に繋がりかねないリスクを特定し、対処方法をまとめていく。それらが繰り返し行われる。