バレー・パナソニックが4季ぶり頂点「誰が出ても勝てる」を証明
監督も選手たちも手ごたえを感じとれた試合
しかしそんな逆境にもチームは前を向いていた。制裁直後の大阪でのファイナル6最終戦、セッター深津英臣の対角、清水邦広のポジションは若い二人、先発として今村貴彦が、途中からは久原翼が担った。その試合は豊田合成にストレートで敗れたが、川村監督も選手たちも手ごたえを感じとっていた。 「負けはしたけど、このチームでも勝てるという自信。離されても追いついたり、パナソニックはやっぱり強いなと思わせられたのは収穫」(深津英臣) 「いろんな選手が出て強いパナソニックを見せられた。自分たちが思っている以上に自分たちの地力はある」(福澤達哉) 「清水がいないが、レセプションやディフェンスがよかったり、いろんな攻撃のバリエーションができ面白い部分もある」(川村監督) 『誰が出ても勝てるチーム』を目指し若手にチャンスを与え育成してきたパンサーズ。清水はいなくても「このチームで勝つ」。
「若い選手が出て勝てたことは後にいきてくる」
そうして迎えたファイナル。清水邦広が会場に現れたこともチームを後押しした。 「『俺の分までと思わないでほしい。自分のために頑張ってほしい』。清水さんがメールでそう言ってくれて、みんな自分のプレーに集中できました」と深津英臣。福澤達哉が足をつるピンチを24歳の今村貴彦やこの日が23歳の誕生日の久原翼が救い、24歳のミドルブロッカーの山内晶大が大事な場面で速攻やブロックを決めた。 「ファイナルという舞台でプレーするのは簡単ではないが、若い選手がいいプレーをしてくれたのはうれしく思います。お互いを信じてみんなで勝てたのは価値がある」と、リーグを通してチームを鼓舞し続けたクビアク(ポーランド代表)も誇らしげに言った。
「若手が成長して、若手とベテランの競争があり、誰が入ってもそん色なくできた」と福澤達哉、若い選手が出て勝てたことは3年後、5年後にいきてくる」と深津英臣も。 若手も胸を張った。「パンサーズで初めてのリーグ優勝。とてもいい経験をさせていただいた。今後に絶対プラスになる」と山内晶大。「気持ちよくプレーできた。後輩も入ってくる。自分がプレーで引っ張ってもう一回この舞台に立ちたい」と今村貴彦。 『誰が出ても勝てる』──。その強さを磐石に。清水邦広の復帰を待ちながらパンサーズは進化し続ける。