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絶滅寸前の「鏡広告」がSNSで話題に、大阪の銭湯に全国から依頼殺到

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Lmaga.jp

全員が「裸」で見る広告がある。それは、銭湯の洗い場にある鏡に掲示された「鏡広告」だ。とはいえ、町から消えつつある銭湯、そしてスマホユーザーが増す一方で、鏡広告は絶滅寸前では?と思いきや、その仮説をひっくりかえす銭湯があった。 【写真】さまざまな鏡広告 大阪・此花の銭湯「千鳥温泉」では先日、39枠すべての鏡広告枠が埋まったというのだ。また、出稿しているのは近隣の人だけではなく神戸の喫茶店、和歌山のドムドムバーガー、東京の漫画家、そして鏡広告とは無縁そうなVTuberまで! 千鳥温泉を営むのは、2017年9月に「千鳥温泉が無くなるかも」ということを聞きつけ、脱サラして銭湯経営の世界に飛び込んだ桂秀明さん。60年以上歴史を持つ、町の銭湯として地域の人に愛される銭湯の経営者として、セカンドキャリアをスタートさせた。 せっかく引き継いだはいいが、鏡のメンテナンスができていなくて曇りがひどく、お客さんから「張り替えてくれないか」という声が多数。しかし、引き継いだばかりでお金がない・・・。そんなときに思いついたのが「鏡広告」だったという。 「銭湯の鏡広告って、鏡とくっついているので張り替えられるうえに広告料をもらうことができるので、どうにかこのシステムを使えないかと、制作している会社を見つけ出しました」と、桂さん。 その後、知り合いに出してみないか声をかけたところ、面白がって広告を出す人が徐々に増えていったそう。「それから思い切ってツイッターで募集してみたら、あれよあれよと埋まっていきました。おかげさまで、鏡がすべてピカピカになりましたよ」と笑って振りかえる。

鏡広告を出したVTuberも太鼓判

関西でも残り少ないという字書き職人が制作する鏡広告は、なんともレトロで味わい深い。最近、鏡広告を出したことをツイートして話題を集めたVTuberのマシーナリーとも子さんは、「フリーのVTuberとして売り込む、ちょっとヒネった方法を考えていたところ、友人からここの鏡広告を教えてもらったんです」と経緯を話す。 「レトロな雰囲気に惹かれて、出せると聞いたときに即決してしまいました」とマシーナリーさん。「完成した看板では「バーチャルYouTuber」が「バーチャルYouber」になっていましたが(笑)、本来困るといえば困るんですが、かえって話題になったので良かったですね」と、手書きならではのエピソードも(2020年6月は修正中で1~2週間外れているとのこと)。 鏡広告は、女湯・男湯に半年ずつ設置して合計1年間掲出される。広告料は、制作も含めて2万円。延長する場合は1年で1万円。延長せずに退役する場合、鏡広告は広告主が引き取ることができ、広告主が千鳥温泉に寄贈することもあるという。 マシーナリーさんは「広告としてめちゃめちゃ安い」と話す。「『銭湯にバーチャルYouTuberが広告を出して意味あるの!?』って言われたりしたんですが、完成品があんなにかわいくて写真見た段階で満足しましたし、思ってた以上にツイッターで話題になったので完全に元取っちゃいましたね(笑)。文字も職人さんがあのテイストで書いてくれるので、めっちゃオススメです!」と太鼓判を押す。 今はすべて埋まっているため、次に広告を出すことができるのは1年後。桂さんは「延長してくださることも多く、広告を出す方々にも楽しんでいただいている。もっと多くの銭湯に広まっても良いのでは。ぜひ鏡広告を見に、お風呂に入りに来て」と呼びかける。 鏡広告というアナログな世界が、ツイッターで盛り上がるという古今が交わる光景は、なかなか面白い。広告だらけでも、嫌な気持ちに全くならないのは、きっと広告主たちの遊び心があるからだろう。

取材・文・写真/小田切萌

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