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「安倍内閣の象徴」と言われるのに、ニュースでは報じられない 知られざる“内調”の実態

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文春オンライン

「必ずしも知り得たことをすべて流すのではなく……」

 現在の安倍晋三内閣も内調を重視していることはよく知られるところですが、歴代の総理がみなそうだったわけではありません。鳩山一郎内閣(1954~56)はソ連に接近したため、反共をポリシーとする内調には緊張が走り、鳩山の私邸に盗聴を仕掛けたという証言も伝わっています。田中角栄内閣(72~74)は知識人を重視せず、知識人らも肌合いの違う田中には批判的でした。  内調と関係が密であった吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘らはいずれも親米でした。志垣日記によって内調から毎年三人の職員がCIAで研修を受けていたことなどアメリカとの関係の一端はわかりましたが、清張や吉原が追っていたCIAとの強い関係性はいまだに解明できていません。宿題は残されたままです。  現在の内調を取り上げ話題になった本もありますが、情報源やその意図がはっきりしないため、推薦するのは控えました。内調の弘報活動について書かれた創成期の内部資料にこんな一節があります。「事実に基礎を置くこと。必ずしも知り得たことをすべて流すのではなく、国家の立場から時と処を得て選択された必要にして充分な事実を流す意味である」。内調情報の扱いには、今も細心の注意が求められると思います。

内調の実態が見えてくる5冊

【1】松本清張全集第31巻 深層海流 現代官僚論 (松本清張) 内調の元職員から流出した内部資料をもとに、V資金(M資金のこと)を使った諜報機関の内部抗争や政官界の派閥争いなどがリアルに描かれる。著者は前年発表の占領下の日本の重大事件を書いた『日本の黒い霧』の続編のつもりで書いたという。文藝春秋 3300円+税 【2】小説日本列島(吉原公一郎) 内調の機密文書をもとに、実現しなかった新情報機関が描かれた。「極秘文書ではあっても、(中略)戦後の政治を動かしてきた実態にまで触れることは困難であった。戦後政治史の裏面を描こうとすれば、小説という形態をもってしかなし得ないものである」(著者) 三一新書 絶版 【3】内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男(志垣民郎/岸俊光編) 学徒出陣で従軍した著者は97歳。「世の中では内調を面白可笑しく取り上げて揶揄する傾向がある。しかし、創設以来のメンバーは自分であるから世間の皆に事実を正確に知って欲しい」。内調に勤務した26年間を綴った日記をもとに原稿用紙300枚を書き下ろした。文春新書 1200円+税

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