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「安倍内閣の象徴」と言われるのに、ニュースでは報じられない 知られざる“内調”の実態

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文春オンライン

 名前を聞いたことはあっても、何をしているか分からない謎めいた政府の機関──それが内閣情報調査室(内調)のイメージではないでしょうか。近年、内調に関する本の出版が続いたり、内調と戦う新聞記者を描いた映画『 新聞記者 』(原案/望月衣塑子、河村光庸)がヒットしたり、ちょっとした内調ブームになっています。 【写真】この記事の写真を見る(10枚)

情報を握り、政府の秘密を守る「内調」

 背景には官邸機能の強化があります。特に内閣官房内に設置された内調は、室長が内閣情報官に格上げされる、情報衛星からの情報を一手に管理する、特定秘密保護法の運用上の権限を持つ、重要情報が外部に漏出するのを阻止するカウンターインテリジェンス・センターや国際テロ情報集約室を内部に設置するなど、その機能がどんどん拡充されたことで存在が目立ち始め、人々の関心を引くようになりました。  情報を握り、政府の秘密を守り、官房機密費が活動費に充てられる……。謀略、スパイなどの単語が容易に浮かび危険視されて当然かもしれません。  そもそもこの組織は創成期からマスコミの関心が高く、第三次吉田茂第三次改造内閣の1952年に内閣総理大臣官房調査室としてスタートした際はまだ戦争が影を落とす時代でした。再び戦前・戦中のような国家の情報統制や謀略が始まるのではないかと警戒するメディアやジャーナリストが少なくなかったのです。例えば読売新聞は言論統制の恐れがあると主張するキャンペーンを張りました。

松本清張が内部資料を入手して書いた小説

 松本清張(1909~92)は内調の内部資料を入手し、それを基に小説『深層海流』を執筆、六一年に『文藝春秋』で連載しています。あくまでも小説ですが、国家の諜報機関の内部抗争や政官界の派閥争いなどがリアルに描かれ、前年発表の占領下の日本の重大事件を書いた『日本の黒い霧』に続いて話題を呼びました。連載終了後、同誌に「情報それ自体の蒐集は、国策を運営する上において当然のことだ。ところが、内調の役目がその辺を逸脱して謀略性を帯びていたとなれば、少々見逃すわけにはいかない」という小文を寄せています。  連載は単行本として文藝春秋新社から刊行され、後に『松本清張全集第31巻』に収められています。ともに収められた『現代官僚論』でも内調について取り上げていますので、ここでは全集のほうをセレクトしました。

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