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RTで皆が感染しないで済むようになるのか…“感染者”特定情報を拡散 公益目的と言えず罪になる恐れ

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関西テレビ

<中傷ビラの内容> 「この顔に、ピンと来たらコロナ注意!」  男性の名前と顔写真が印刷され、写真の人物が、新型コロナウイルスに感染したと中傷するビラ…。愛媛県今治市の街中でバラまかれたものです。  7月23日、今治市で初めて感染者が確認され、その翌日にビラが市内の飲食店の前などに置かれているのが見つかりました。 ビラを発見した飲食店店長: 「怒りを通り越して…。そんなことする間があったら、もっと前に出て協力してほしいこと、一杯あるんですけどね」  写真の男性が感染者かどうかは分かっていません。  また、新型コロナウイルス感染者に対しての心無い行為はほかにも…。 達増拓也岩手県知事: 「誹謗中傷は犯罪にあたる場合があります。犯罪抑止、あるいは起きた犯罪への対応という観点で厳格に望む意味で、鬼にある必要性があるかもしれない」  初めて感染者が出たと発表した岩手県。感染が確認された男性に対して職場などに誹謗中傷が起きていて、岩手県の達増知事はSNSの記録をとるなど、厳しく対応すると話しました。  感染した人を追い詰めるこうした行為があとを絶ちません。誹謗中傷はどんな罪になるのか、菊地幸夫弁護士に伺います。 菊地弁護士: 「ばらまかれたビラですが、名前と顔写真で誰だか分かりますよね。そうした特定の人に『コロナ注意』などと書いて、見た人が『この人、警戒しなきゃ…』となると、その人の社会的評価を下げてしまうようなこととなります。これは名誉棄損罪ということになり得ます。  一方、民事でもプライバシー侵害や名誉棄損の形で慰謝料を払わなければいけないというペナルティーが来る可能性が高いです」 Q.企業などでは従業員が感染した場合、名前こそ出しませんが部署などとともに感染者について発表するケースがあると思います。世の中に伝えることで名誉棄損になるケースとならないケースの線引きはどのあたりにあるのでしょうか? 菊地弁護士: 「世の中に対して『こういうケースがありましたから気を付けてください』という啓発は必要だと思います。そういう意味で名誉棄損にならないケースとしては、3つの条件があります。  1つ目は発表したことが公共の利害に関するもの。コロナは感染症ですので、確かに公共の利害に関するものです。2つ目としては、公益を図るために行ったということ。皆さん気をつけましょうという純粋な気持ちであれば、この2つ目もOKと言えるでしょう。3つ目は発表した内容が真実であることです。  その意味で今回のビラは、確かにコロナは公共の利害に関するものですけど、公益を図るためでなく、人が困っている姿を見て喜ぶという嫌がらせ目的なのではないのかと。そうすると2つ目はダメ。3つ目、真実かどうかも曖昧です。ということは、これはやっぱり名誉棄損になる可能性が高いと思いますね」 Q.ケーススタディとして、例えば「Aさんの旦那さんコロナらしいわよ」などと、近所の人に感染情報を広めた場合、またツイッターなどの「B大学のCちゃんがコロナにかかったらしい」というネットの情報を拡散させた場合はそれぞれいかがでしょう? 菊地弁護士: 「どちらも罪になる恐れがあります。目安としては、自治体発表以上の個人情報については止められたほうがいいと言えます。  最初の、井戸端会議などで「コロナらしい」と広めた場合、先ほどの3条件に照らして、みんながコロナに感染しないように気を付けるという目的とは違って、興味本位なのではないでしょうか。  ネットの情報をみんなに知らせなきゃ…というのも、もし知らせた場合にみんなが感染しないで済むような公益につながるのかというところを吟味しなければいけません。そうだとすると、単に秘密をみんなに知らせる“快感”でやっているという面も多いのではないでしょうか。そうすると3条件の2つ目、公益を図るために行ったかどうかということはなかなかクリアが難しいと考えた方がいいですね。  リツイートなどの場合には『大元のツイートの人を処罰してよ。私は広めただけなんだから』という言い訳をされるかもしれませんが、これは違うんです。特定の人の社会的評価を下げることを、より拡大した責任がありますのでリツイートだからセーフとはなりません」 Q.となると、“自治体発表”との差は何になるのでしょう? 菊地弁護士: 「自治体はその辺に気を付けて、個人の名誉棄損だとか権利の侵害にならない範囲での情報を出すということをある程度考えていますので、そこからさらに踏み込むというのは、不当なプライバシーの侵害になるリスクが高いと考えて下さい」 (関西テレビ8月5日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)