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浪江の復興牧場 整備計画遅れ懸念

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福島民報

 東京電力福島第一原発事故からの酪農業再生に向け、浪江町と県酪農業協同組合が同町棚塩地区に計画している県内最大となる復興牧場の整備で、計画に遅れが出ると懸念されている。近隣の住民に環境悪化への不安が広がっているためだ。町は住民の理解を得て整備を進めたい考えだが、新型コロナウイルス感染拡大により説明会が開けず、足踏み状態が続いている。 ■県内最大  計画されている復興牧場は敷地面積二四・七ヘクタール。乳牛千頭程度を飼育し、年間の生乳生産量は約一万トンを見込んでいる。福島市にある現時点で県内最大の復興牧場「フェリスラテ」の約二倍の規模となる。ロボットやICT(情報通信技術)を活用した自動給餌装置、搾乳機器をはじめ、繁殖期を見極めるセンサーなど最先端技術の導入を予定している。  町が町有地に施設を整備し、運営は組合と全国酪農業協同組合連合会、被災酪農家が共同出資する新会社が担う。組合によると、原発事故の影響で県内の酪農家六十三戸が休業しており、このうち一部が復興牧場に参画する見通し。

 県内の生乳生産量は原発事故による酪農家の休業や担い手不足で減少が続く。二〇一七(平成二十九)年度の生乳生産量は七万三千七百六十四トンで、原発事故前の約七割まで落ち込んだ。組合は減少に歯止めをかけようと南相馬市、川俣町山木屋地区、飯舘村で復興牧場整備を模索したが、乳牛飼育に必要な水源が確保できないなどの理由で断念した。町と組合は広大な敷地と豊富な地下水が出る棚塩地区が最適地とみて、早期の着工を目指している。 ■過半数の反対署名  牧場整備に向けては住民の理解が前提条件となるが、十分には得られていない。予定地近くの北棚塩行政区有志は今月十六日、整備に反対する署名を町に提出した。全六十一世帯のうち、半数超の三十五世帯が反対の意思を示した。  署名に添えた文書では、棚塩地区に水素工場や木材工場が建設されたことで住環境が変化していると主張し、「さらに牧場が整備されれば安心して生活できるのか心配」として計画撤回を求めている。

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