隣の市なのに…魅力に差!? 八街と山武 ランキングで明暗 その謎調べてみました【ちば特 千葉日報特報部】
落花生の名産地として知られる八街市と、イチゴ狩りや海のレジャーが楽しめる山武市。二つの地域は今年、それぞれ別のランキングで注目を集めた。1都3県の駅ごとに集計する賃貸物件の「コロナ禍での問い合わせ増加率ランキング」で、八街(JR総武本線、八街市)が1位となった一方、山武市は市区町村別「魅力度ランキング」で全国最下位タイになった。 移住・転居を考える都市部の人々の目に留まった八街。山武市では地元住民が知名度向上に向け立ち上がり、魅力を発信するイベントも始めた。読者の疑問に答える「ちば特(千葉日報特報部)」今回は、隣り合う両市の住みやすさや魅力について調査した。(「ちば特」取材班 田村理、石堂みなみ、山崎恵)
◆コロナ禍も影響?
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した今年4月1日~8月18日にかけ、「八街駅」にひも付けられた賃貸物件の問い合わせは前年同期比で146・2%の増加率を記録し、1都3県で1位となった。 住宅情報サイト運営会社が集計し、グループ会社が分析したランキング結果。八街市企画政策課は「コロナ禍で在宅勤務に注目が集まる中、郊外にある八街の物件は手頃感がある」と指摘。同社の担当者は「一般的には通勤圏ではないが、週に数回の通勤なら(都心に)十分に通えると評価されたのでは」とみる。
◆「住みやすさ」評価
八街は、昨年1年間を調査期間とした1都3県の「2020年 買って住みたい街(駅)ランキング」でも26位となり、前年の70位から急上昇した。同課は「最近は八街駅周辺に、多くの家が建った」と指摘。同社の担当者は「アクセスの良さや物件の手頃感も評価されたのでは」とした。 同課が「ランキングは八街に関心をもってもらう良い機会になった。実際の移住につなげたい」と意気込む一方、住民の中には「評価の高さには違和感もある」との声も。同市のパート女性(65)は「バスの本数が少なく、車が運転できても渋滞が多い」と打ち明ける。市の担当者は「道路整備を進めており、バスの廃止路線対策としてコミュニティバスも運行している」と強調。市は子育て支援にも力を入れ「住みやすさ」向上を図っている。 一方、山武市の松尾、日向、通勤快速の始発駅でもある成東駅は物件数が少なく、ランキングの対象外。同社の担当者は「物件が極端に少ないわけではない」とする一方、「『八街市の八街駅』と比べ認知度は低く、問い合わせは来づらいかもしれない」とした。