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ゴミ問題「100年後からのありがとう」のために

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日刊スポーツ

僕は今まで多くの発展途上国を訪れている。特に東南アジアやアフリカへ行く回数が多く、南アフリカは5回訪れ、東南アジアはフィリピン、ラオス、カンボジア、東ティモール、インドネシアを訪問したことがある。その都度、思うのがゴミ問題だ。 【写真】0円Jリーガーとして試合で奮闘するYS横浜のFW安彦 フィリピンでゴミ山「パヤタス」を訪れたことがある。そこは地元住民の生活拠点となっており、子どもたちは生計を立てるためにゴミをあさり、プラスチックの素材など再利用できるものを売っている。ゴミの山に暮らしながらも、彼らにはどこか生きる力がみなぎっていた。 ただ、そういったこととは別に、街中を見てもゴミがあふれていて、僕が訪れた飲食店ではゴミ箱があるにも関わらず地面にゴミが散乱していた。ゴミをゴミ箱にという感覚を持っているのは、もしかすると僕ら日本人にとって当たり前かもしれないが、これは全世界でみると決して当たり前のことではないのかもしれない。 そう考えると、日本人のゴミに対するリテラシーは非常に高く、僕らにとっては分別することが当たり前で、決められた曜日にゴミを分けて出すことが日常化している。その高いリテラシーのおかげで日本はきれいな街と位置づけられているし、そこに住む僕らも気分良くすることができている。 しかし、裏を返すと当たり前のことを当たり前にこなしてしまっていて、それがルールを守るということだけにフォーカスされ、実際にそれが何のために行われているかということを、最近、我々は無視しているのではないだろうか。例えば、プラスチックゴミを燃える、燃えないを分けるだけにとどまり、ペットボトルのキャップを外すことだけにこだわり、実際にこのゴミが地球にどんな悪影響を与えているかということに目を向けることが少なくなってきているように思う。 街をきれいにすることやゴミを出さないことなどに日常から取り組んでいる日本人ではあるが、それゆえに地球環境に対する視点が乏しくなっているのではないかと思う。それはスターバックスの紙ストローを飲みにくいと文句を言う人、レジ袋は必要だと言う人が多いように、テクニカルな視点にだけ目を向けてしまうからだと考えられる。 以前、僕は前を歩いている人がゴミを道端に捨てたので、それを拾おうとした。その次の瞬間、また別の人がゴミを捨てた。以前の自分だったらきっと後ろから追いかけて怒鳴り散らしていたことは容易に想像がついた。 しかし、その時は、その次なるゴミも拾って何も考えずにゴミ箱へ捨てに行った。もし僕が環境問題に興味関心を抱いていなかったら、こんな風には行動できていなかったと思う。それはゴミ箱へ捨てるという行為そのものについてのことではなく、捨てるゴミが増えてきているのは大人の問題であり、その責任を担う年齢にもなっているということだ。 地球は借り物であり、僕らの所有物ではない。あの時、フィリピンやカンボジアでみた光景は日本ではあり得なかったことではあるが、実はもっと大きな問題として抱える環境破壊がそこにはある。少しずつではあるが、そんな取り組みができる人でありたいし、そういう仲間と一緒に日々を過ごしたいと思う。 僕のJリーガーとしての人生はあと13試合で終わる。日数で言えばあと66日しかない。こんな生き方もある。何事にも始めるのに遅いことはない。そんなメッセージの先に、この地球のこともちゃんと考えていきたい。 ひ孫が喜ぶ世界に、環境破壊があってはいけない。「100年後からのありがとう」のためにも、僕はライフスタイルとしてエコな生き方をしていきたいと思う。(J3、YSCC横浜FW) (ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「0円Jリーガー安彦考真のリアルアンサー」) ◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、グレミオ・マリンガとプロ契約も、けがで帰国。03年に引退も、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年に旧知のシュタルフ監督率いるYS横浜に移籍。開幕戦のガイナーレ鳥取戦で途中出場し、ジーコの持っていたJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を上回る41歳1カ月9日でデビュー。175センチ、74キロ。

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