広島・野村3軍投手コーチ兼アナリスト就任「来季もユニホームが着られるということで身が引き締まる」
広島は19日、カープ一筋13年で通算80勝を挙げ、今季限りで現役を引退した野村祐輔氏(35)のコーチ就任を発表。背番号は92に決まった。広島市南区の球団事務所で行った記者会見で、野村コーチは「今までの経験を伝えていきたい」と決意を示した。3軍投手コーチ兼アナリストとして、球団史上初めてコーチとアナリストを兼任。異例の二刀流指導者として新たなスタートを切る。 今季限りで現役生活に終止符を打った野村が、引き続きカープのユニホームに袖を通して後進を育てる。第2の野球人生の幕開けを前に心境を明かした。 「来季もユニホームが着られるということで身が引き締まる。今までの経験を伝えることができたらなと思う。いい時も、悪い時も選手に歩み寄っていけるコーチが理想です」 カープ一筋13年で通算80勝をマーク。球の切れと制球力を生かした投球術で、多くのファンを魅了した。デビューからの211試合連続先発登板はプロ野球記録。準備にこだわり、真摯(しんし)に練習と向き合う姿は、後輩たちの手本となった。来季はリハビリ、育成部門の3軍投手コーチとして尽力する。 「(当時は)新人ということもあったので、凄く歩み寄ってくださって、距離感の近いコーチだった」 理想のコーチ像は、自身の入団時に投手チーフコーチだった大野豊氏(現本紙評論家)だという。右も左も分からない中、寄り添ってもらったことが印象に残っているといい、大野氏のような指導者を目指す。そして、野村コーチはもう一つの役割を任されていた。就任会見後、取材に応じた鈴木清明球団本部長が明かした。 「彼には3軍(投手コーチ)をやりながら、アナリストとして勉強もしてもらう。選手もデータとか映像とか、そういうものを見る世代になってきた。コーチもそういう新しい情報を共有できるように、今のうちからやった方がいいんじゃないかと」 球団史上初となるアナリストとの兼務。球団OBのアナリストは、飯田哲矢チーフアナリスト、一岡竜司アナリストに続いて3人目。動作解析システムの「ホークアイ」、弾道測定器「ラプソード」などのデータを分析して、選手たちのパフォーマンス発揮への手助けをしていく。 球団は今後、新たにコーチ契約を結んだ場合、アナリストと兼務する形を増やしていく方針だ。「これからいろんなことが勉強になる。いろんなことを学ぶ準備はしていきたい」と野村コーチ。二刀流の第1号として、職務を全うする。 (長谷川 凡記) ◇野村 祐輔(のむら・ゆうすけ)1989年(平元)6月24日生まれ、岡山県出身の35歳。広陵高から明大を経て11年ドラフト1位で広島入団。抜群の制球力で1年目から先発ローテに定着し、防御率1.98で新人王。16年は16勝3敗で最多勝と勝率第1位のタイトルを獲得し、リーグ優勝に貢献。1軍登板211試合は全て先発で80勝64敗、防御率3.53。右投げ右打ち。