阪神ドラ1・伊原に慢心なし!指名順位返上で「下からはい上がる気持ち」大商大激励会に参加
阪神ドラフト1位・伊原陵人投手(24=NTT西日本)が14日、大阪市内で行われた母校・大商大野球部主催のドラフト指名選手激励会に参加し、決意を新たにした。プロ入りに際して肝に銘じるのは、ドラフト1位の“看板”を捨てること――。大商大・富山陽一監督や、その恩師と親交のある元近鉄・佐々木恭介氏(大和高田クラブアドバイザー)からの愛ある激励の言葉を胸に刻み、アマチュア時代と同様、挑戦者精神を前面に出してプロの扉をたたく。 改めて襟を正した。伊原が“ドラ1返上”の心意気でプロの世界へと飛び込む。母校・大商大主催の激励会。近鉄にドラフト1位入団し、近鉄、阪神などで指導者も務めた佐々木氏から名指しで「1位といっても活躍しなかったら周りに誰もいなくなる。しっかり頑張れ」と厳しい言葉でエールを受けた。だが大商大・富山監督からも常々「おまえは、そういう(チヤホヤされる)人間じゃない。ドラフト1位の看板を捨てろ」と言われている左腕は動じない。真っ正面から呼応した。 「それは、そうですね。順位関係なく、行ってからが勝負だと思うので。1位だからとチヤホヤされたりというのもあると思いますけど、“そういう人間じゃない”というのは僕も自覚しているところ。下からはい上がるという気持ちで、一生懸命やりたい」 そもそも左腕の辞書に「慢心」の2文字はない。野球人生のテーマは挑戦。この日、報道陣から問われた今年の漢字にも「挑」の字を挙げた。「“挑む”じゃないですか。今年はとにかくチャレンジすることが多かったので」。ドラフト1位として大きな期待を受けるであろうルーキーイヤーの来季も、その心構えを根底に戦う。 「ずっと挑戦です。僕は上に立ってきた人間じゃない。試合で投げるために勝つために食らいついてきた。その思いがあってここまで来られたのでプロでも変えずにやりたい」 だから現状の自身にも満足はしない。佐々木氏からは「制球がいい。セ・リーグ向きだと思う」とお褒めの言葉ももらったが、「スピードもコントロールも変化球も、まだまだ足りない」と首を振った。新たなフィールドへの挑戦に備え、トレーニングに励む。「僕は日本一になったことがない。阪神で優勝、日本一の戦力になれるよう頑張りたい」と伊原。挑戦の先に、まだ見ぬ頂点を見据える。 (松本 航亮) 《渡部「期待応える活躍」西武ドラ2》伊原とともに激励会に参加した西武ドラフト2位・渡部とソフトバンク育成9位・岡田(ともに大商大)が、そろって壇上でプロへ向けての抱負を語った。渡部は「試合を見に来てくださるファンの方々の期待に応える活躍をしたい」と力強く語り、岡田は「自分は下からのスタートになるが、必ず這い上がって富山監督に恩返しをしたい」と下克上を誓った。 《先輩・小野寺もエール》 大商大出身の小野寺が、後輩・伊原との聖地お立ち台競演に意欲を見せた。OBの一人としてこの日の激励会に参加し、壇上ではツーショットを披露。次は本拠地・甲子園に詰めかけた大観衆の前で、ともにポーズを決めることを思い描いた。 「そういう先輩、後輩でお立ち台に立っている人たちを見ていて“うらやましいな”と思っていた。何とか一緒に立てるようにしたい」 会の中では伊原から阪神について“直球質問”も受け「気をつけた方がいい先輩はいますか?って(笑い)。誰もいないので、やりたいようにやったらいいよと言いました」と助言もした。後輩が入ってくることを改めて実感し「自分も、もっと頑張らないと。伊原はたぶん活躍するので、まずはその後ろを守れるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。