2030年度末に2スキー場閉鎖方針 財政健全化へ半数に 福島県南会津町のだいくら(田島)、北日光・高畑(伊南)
福島県南会津町は2030(令和12)年度末で会津高原だいくら(田島)、北日光・高畑(伊南)の両スキー場を閉鎖する方針を固めた。会津高原たかつえ(舘岩)、会津高原南郷(南郷)の両スキー場は存続させる。2006(平成18)年の町村合併で旧町村の施設を引き継いだ。しかしリフトなどの設備修繕で今後も多額の予算が必要なため、町有の4スキー場を半数にして財政健全化を図る。13日の町議会全員協議会で素案を示した。冬の基幹産業の衰退につながる恐れがあり、地域経済やウインタースポーツへの影響が懸念される。 町によると、昨年度の各スキー場の利用者数はたかつえが約10万6千人、だいくらが約6万7千人、高畑が約2万7千人、南郷が約3万7千人。たかつえは集客力が最も高い。南郷は利用者が地域に魅力を感じ、南郷トマト栽培で移住につながるなどの影響を考慮したという。 合併時は4スキー場合わせて約50万人が利用していたが、現在は当時の4割程度。いずれも開設から30年以上が経過して設備が老朽化し、修繕費は毎年1~2億円程度かかる。スキー人口が減少し、降雪量も少なくなるなど環境も変化しているため半数を閉鎖する方針だ。
たかつえとだいくら、南郷は第3セクターみなみあいづ、高畑はDMCaizuが指定管理者となっている。だいくらと南郷合わせて季節雇用者は約100人。農業者らの冬の働き口で、閉鎖後に働く場をどう確保するかが課題だ。 指定管理者の現在の契約は2025年度までで、その後5年間の猶予期間を設ける。その間に地域振興策を検討するという。来年1月から2月にかけて各地区で住民説明会を開き、方針を説明する予定。 町内のスキー場は良質なパウダースノーが楽しめるとして北関東などから利用客が訪れている。だいくらでは県高体スキー大会が開かれるなど競技力向上に貢献している。高畑は変化に富んだコースでファンに人気がある。 町は昨年度、県中小企業診断協会に観光施設の評価を依頼し、たかつえ以外は廃止すべきとの結果が出ていた。渡部正義町長は全員協議会で「苦渋の思いだ。財政を考えると決断しなくてはいけない」と述べた。