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結愛ちゃん虐待死、懲役13年となった理由 求刑18年、裁判員も「量刑傾向動かしたかった」

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 東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=虐待死事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)の裁判員裁判で、懲役13年を言い渡した15日の東京地裁判決は、従来の量刑より重い懲役18年の求刑を大きく下回り、判例の枠内に収まった。類似事件との「公平性保持」を求めた最高裁判決を踏まえ、裁判官が「公平」を強調したとみられる。裁判員は判決後の記者会見で「感情としては量刑傾向を動かすという判断をしたくなった」「葛藤が最後まであった」などと語り、量刑に裁判員が関わる意味を改めて考えさせる事件となった。(共同通信編集委員=竹田昌弘)  求刑上回る判決相次ぐ   虐待死事件の裁判員裁判では、静岡県函南町の自宅で土屋侑紗(ありさ)ちゃん=当時(1)=を抱き上げ、床などにたたきつけて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた母親に対し、静岡地裁沼津支部は11年3月の判決で「自分で身を守れない子どもに虐待を重ねた上の悪質な犯行で、求刑は軽い」として、求刑を1年上回る懲役7年を言い渡した。12年3月の大阪地裁判決では、大阪府寝屋川市の岸本瑠奈(るな)ちゃん=当時(1)=虐待死事件で、傷害致死の罪に問われた両親に対し、ともに求刑の1・5倍に当たる懲役15年を宣告し「被害者の精神的苦痛は筆舌に尽くし難く、無限の可能性が奪われた。虐待は社会問題であり、今まで以上に厳しい刑を科すべきだ」と断罪した。 

 求刑を上回る判決は裁判官だけの裁判ではごくまれだが、裁判員裁判では、虐待死事件や性犯罪などで相次いだ。最高裁によると、求刑より重い判決は、裁判員制度開始2年目の10年5人、11年10人、12年19人と増え続けた。瑠奈ちゃん事件は大阪高裁の控訴審で、求刑の1・5倍の量刑が支持され、裁判員裁判の厳罰化を象徴するケースとなった。  最高裁「裁判員裁判といえども公平性保持」   そもそも最高裁は09年5月の制度開始に当たり、全国の裁判官に「量刑の基本的な考え方について」と題する文書を配布し、量刑は「犯罪行為にふさわしい刑事責任を明らかにするもの(行為責任主義)」と確認。裁判員には、①犯罪行為の態様、動機・計画性、結果などに着目するよう伝える②類似事件の量刑を参考にして「責任の枠」(重い部類か、軽い部類かなど)をイメージしてもらう③その上で、被害者側の事情(被害感情、落ち度など)や被告側の事情(年齢、前科、反省など)も考慮し、最終的な刑を決める―という量刑の手順を提示していたが、求刑を上回る判決では、責任の枠を決めた後に考慮する③の被害感情を重視したり、過去の量刑に疑問を投げ掛けたりしていた。 

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