均一化から個性回帰へ。Nothing CEOと深澤直人が語る「テクノロジーとデザインの関係性」#TrendBuzz
AIでプロダクトデザインは不要になる?
トークショーでは、AIがプロダクトやデザインにどのような影響を与えるのかについても語られました。 ペイ氏は、AIには3つの要素があると話します。 まず、「コンピュータが私達人間のことを知ってくれること」。ソフトウェアやアプリが持つユーザーの情報をパッケージ化して、ユーザーに適した環境をいかに作っていくのかが重要になるといいます。 そして、「ユーザーを手伝えるような存在になっていくこと」。すでに電気自動車では、ユーザーのことを自動車側が把握して助ける機能が備わったものがありますが、スマホでもそれを実現していきたいと話します。 AIがユーザーを助けることで、人間が楽しいとは思わないような作業をコンピューターに任せて、人間はもっと楽しいことや情熱を持てることにフォーカスできる状況をつくりたいと思っています。(ペイ氏) さらに、これらのテクノロジーが出てくることによって、ユーザーインターフェースも変化してくると予測。AIが発達してアプリが不要になる時代が訪れたときに、感覚的な操作ができて、美しく使いやすいUIをどう実現するかを考える必要があると話します。
AIとどう付き合うか? 1000年前からの技術開発を振り返る
深澤氏は、「実はもう、僕らの世界はAIにどっぷり使っている状態」としながら、世間でAIに対して警戒するような風潮がある要因について「姿が見えないものだから」と分析。 AIはその姿が見えないだけに、不安材料になっています。そのため、AIという概念にどんな姿を与えるかという部分が今後のデザインになっていくと思います。(深澤氏) ペイ氏は「AIに対する恐怖の背景には、AIでさまざまなクリエイティビティを生み出せるようになったことや、人間の職が奪われることへの懸念もある」と指摘。 だからこそ、作る側の企業が透明性をもって正直に何を作っているのかわかりやすく伝えることが重要だと話します。 この1000年にわたって我々人間が行って技術開発は、人間が使うツールを作ることでした。人間をツールに置き換えることでは決してありません。AIも同じで、人間を助けるものとして捉えることが原則になってくると思います。(ペイ氏) さらに、現時点での課題として、「AI自体を最終的に目指すプロダクトにしすぎている企業が多い」と指摘。あくまで問題解決のための材料としてAIを活用することが大切だと強調します。