【EU】英独、経済・防衛で新協定 交渉開始で首脳合意=年内妥結へ
英国のスターマー首相は28日、ドイツの首都ベルリンで同国のショルツ首相と会談し、経済・貿易関係の強化や防衛・安全保障協力の緊密化に向けた新たな2国間協力条約の交渉を開始することで合意した。両氏は年内に政府間交渉を妥結させ、来年初めに条約に調印する方針。英国は、欧州最大の経済国ドイツとの連携を深めることにより、欧州連合(EU)離脱を受け冷え込んでいたEU諸国との関係を「リセット」することを目指す。 両首脳は共同宣言で、新条約により「2国間関係を次の次元へと高める」と説明。政府間交渉の優先分野としては、◇外交・安全保障での協力◇経済成長◇産業転換◇不法移民対策と取り締まりでの協力◇人的交流の拡大◇青少年と教育◇エネルギー安全保障◇気候・自然保護政策◇開発政策◇運輸・インフラ◇テクノロジー・研究・イノベーション(技術革新)――を挙げている。 共同宣言によると、新条約では英独間の新たな防衛協定が柱の一つとなる。両国は7月、防衛産業の強化や、欧州の安全保障、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援で連携する共同防衛宣言に署名しており、これを枠組みに新防衛協定の交渉が行われる見通し。 スターマー氏は、「新条約は新たな協力の精神に基づき、関係を幅広くリセットする取り組みの一環となる」と説明。ただ、ブレグジットの撤廃やEUの単一市場および関税同盟への再加入を目指す内容ではないとしている。 ショルツ氏は、「英国はEU離脱後も、欧州の重要課題の解決に欠かせない存在」とした上で、EU離脱協定に基づく通商・協力協定(TCA)や「北アイルランド国境問題に関わる議定書」、「ウィンザー枠組み」を完全に実行する必要があるとくぎを刺している。[EU規制]