香港、自治衰退に危機感 都内シンポで研究者議論
東京都豊島区の立教大で14日、香港研究をテーマにしたシンポジウムが開かれ、日本のほか香港や台湾から来日した研究者らが議論を交わした。主催者の一人で立教大の倉田徹教授は2020年の香港国家安全維持法(国安法)施行後に「統治システムの書き換え」が進んでいるとし、香港の自治の衰退に危機感を示した。 倉田氏は「国安法体制下の香港政治」と題して講演した。香港立法会(議会)では19年度に中国の習近平国家主席への言及が33回あったが、国安法施行後の23年度には488回に激増したと説明した。全てが親中国・香港政府派議員や政府官僚の発言だったとし「翼賛議会に姿を変えた」と語った。 台湾大の何明修教授は香港からの移民が台湾で増えていると指摘し、生活支援の必要性を訴えた。香港の大学の研究者は香港でメディアの抑圧が進み、移民した人が海外からニュース発信する動きも出ていると話した。 東京大大学院の阿古智子教授は中国で禁止されたコンサートが最近東京で実施されたと紹介。「日本人は言論統制の苦しさを分かっていない」と述べた。