アーモンドミルク市場じわり拡大 豊富なビタミンEや食物繊維などアーモンドの価値浸透が追い風に
アーモンドミルク(アーモンド飲料)市場がじわり拡大している。13年から毎年2ケタ成長を続けて市場規模は50億円近くへと拡大。豆乳市場に比べると8%程度の規模だが、健康志向の高まりを受けて、深耕余地が大きいカテゴリーとして各社注力の構えだ。 主原料であるアーモンドの価値が徐々に浸透していることが好調の一因と思われる。 アーモンドにはビタミンEやオレイン酸、食物繊維、ミネラルが豊富に含まれ、中でも抗酸化作用のあるビタミンE含有量は、あらゆる食品中でトップクラス。オレイン酸には悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)を減らす働きがあるほか、ビタミンEの抗酸化作用により肌の若々しさを保つ研究発表もある。 これをすりつぶして水を加えたアーモンドミルクは栄養成分がより吸収しやすく毎日手軽に摂取できることから牛乳や豆乳に続く“第3のミルク”として市場に浸透しつつある。
今年は、コロナ禍となり家庭で過ごす時間が増えたことによって1人あたりの飲用量が拡大して大容量の伸びが市場を牽引。1-7月は前年同期比10%以上伸長した。 9割強のシェアを握る江崎グリコの「アーモンド効果」も1Lの大容量が大幅に拡大。好調要因について、健康事業・新規事業マーケティング部の千田氏は「まとめ買い需要にマッチした。元々常温で長期保存可能であったが、9月から賞味期限を230日から270日へと延長したことも功を奏して、1Lをまとめ買いしているとのお声もいただいている」と語る。
ポッカサッポロフード&ビバレッジの「アーモンド・ブリーズ」も1Lサイズが好調。春先に1Lを従来品に比べ48円値下げし希望小売価格を税抜き350円にして購買を促進したところ、1-8月販売実績は「砂糖不使用」1Lが2倍、「オリジナル」1Lが1.5倍強伸長した。 同社は新たな容器形態にも挑む。 昨年発売した「アーモンド・ブリーズ」ブランド初となる缶容器「アーモンド・ブリーズ やさしい甘さのアーモンドミルク」に続いて今年8月に同じくブランド初のペットボトル(PET)入りの商品「アーモンド・ブリーズアーモンドミルククリアテイスト」を新発売した。 同商品について大久保正孝レモン・プランツミルク事業本部事業企画部部長は「家庭内だけではなく、移動中のシーンにも可能性がある。PETコーヒー競合品のようなチビダラながら飲みのニーズと健康志向の高まりに植物性ミルクの可能性があると考えている」と述べる。