FA移籍は「セからパ」「パからセ」のどちらのほうが多い?
2019年のFA市場では、パ・リーグの3選手がいずれも同じパ・リーグのチームに移籍した。では、リーグをまたいでの移籍、例えば「パ・リーグからセ・リーグのチームに移籍」、「セ・リーグからパ・リーグのチームに移籍」というケースはそれぞれ何度あり、どちらの方が多いのだろうか? どちらのケースが多いのか、FA制度がスタートした1993年から2019年までの移籍選手を調べてみた。
パ・リーグからセ・リーグに移籍した選手が圧倒的に多い
1993年から2019年までに国内FA移籍をしたのは延べ93人。このうち、セからパ、パからセ、また同一リーグのチームに移籍した選手の数は以下のようになった。 ・セからパのチームに移籍……11人(11.8%) ・パからセのチームに移籍……31人(33.3%) ・セから同じセのチームに移籍……27人(29.0%) ・パから同じパのチームに移籍……24人(25.9%) パ・リーグからセ・リーグに移籍した選手は31人で最多。一方、セ・リーグからパ・リーグは11人で最も少ないという結果になった。その差はなんと約3倍。そもそも12球団最多の26人を獲得している巨人を筆頭に、セ・リーグはFA市場で積極的に動くチームが多く(広島はほとんど動かないが)、これまでに多くのパ・リーグ選手がセ・リーグへと流れているのだ。 パ・リーグからセ・リーグにFA移籍した選手31人の内訳を見ると、巨人が13人、阪神が9人とその大半がこの2チームへの移籍。いかにこの2チームがFAに積極的なのかが分かる。また、巨人へは西武から6人、阪神はオリックスから6人がFA移籍。関東、関西とそれぞれのより人気のある球団への移籍が多い。 プロ野球でよく聞くフレーズに「人気のセ、実力のパ」というものがある。たしかに以前は巨人や阪神といった人気球団のあるセ・リーグと比べてパ・リーグ人気は低く、観客の動員人数も大きな差があった。そのため、人気のあるセ・リーグの球団を移籍先の有力候補に挙げる選手も多くいた。実際にパ・リーグからセ・リーグにFA移籍した選手が31人もいることがその証左だろう。 また、FA移籍した選手の投手と野手の割合は、投手が35人で39.3%、野手が54人で60.7%(FA権を2度行使した4選手は1人でカウント)と野手のほうが圧倒的に多いが、パ・リーグからセ・リーグに移籍した選手は31人中投手が14人、約45%とそこまで大きな差がない。リーグをまたいでの移籍の場合は、投手の方ほう重視されているようだ。 「パ・リーグからセ・リーグのチームに移籍した選手」、「セ・リーグからパ・リーグのチームに移籍した選手」の数を調べてみたが、パ・リーグからセ・リーグのチームに移籍するケースが非常に多いことが分かった。そろそろ今季のFA市場が本格的に動くころだが、果たしてパ・リーグから巨人や阪神などセ・リーグのチームに移籍する選手は出てくるのだろうか。今後の展開に注目したい。