クラス会議「子ども同士の関係」よくなる納得理由 心理的安全性の高いクラスづくりのポイント
「主体的・対話的で深い学び」と学級経営の相関関係
新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、子どもたちが協働し自ら課題解決していくような「学級経営」が求められている。小学校教員を経て、愛知教育大学非常勤講師を務める深見太一氏は、子ども同士でつながり子どもの力で問題を解決する学級経営の方法の1つである「クラス会議」や「教員のマインドリセット」などについて、研修やセミナー、SNSなどを通じて発信。クラス会議の具体的なノウハウや心理的安全性の高いクラスづくりのポイント、教員としての心の持ち方について聞いた。 クラス会議の様子【画像】 ――「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、なぜ学級経営が大切なのでしょうか。 学級においては子どもたち同士の関係性がいちばん大事で、ギスギスした雰囲気だと、どんなにいい授業を行ってもうまく成立しにくいものです。また、何か意見を言ったとき、周りの友達に非難されるばかりの教室では、子ども同士が本音で話すことができず、深い学びにつながりにくいのではないでしょうか。「主体的・対話的で深い学び」の実現に必要なのは「授業の改善」以前に、子どもたちの心理的安全性が保たれた学級づくりであり、子ども同士の関係の質の向上です。温かなまとまりの中で互いの意欲を引き出し合えるような学級経営を行うための手段の1つが「クラス会議」であると捉えています。 ――深見さんは、「クラス会議講師」として全国各地で講座やセミナーを開催しています。クラス会議とはどのようなものなのでしょうか。深見さんが、クラス会議を行うようになったきっかけを教えてください。 クラス会議とは、アドラー心理学に基づく学級経営の方法で、「クラスが騒がしい」「係の仕事をやってくれない人がいる」などクラスの問題を子ども全員で話し合い、解決策を考える会議です。小学校のみならず、幼稚園や保育園、部活動のミーティング、企業の会議などでも取り入れられています。 私は大学を卒業して金融系の企業に就職しましたが、以前からの夢だった教員になりたいと思い、玉川大学の通信課程で教員免許を取得しました。愛知県内の公立小学校の教員になり、会社勤めの経験が生かされるだろうと意気揚々と現場に出たものの、「授業がうまくいかない」「子どもたちや保護者の方との距離感がつかめない」「学級経営がスムーズにいかない」などつまずいてばかりでした。 そんなとき、長年クラス会議の研究・実践を重ね、教員養成に関わりながらクラス会議の普及活動を行う国立大学法人上越教育大学教授の赤坂真二先生が、地元の瀬戸市でクラス会議のセミナーを開催することを知り、参加しました。 「これなら自分にもできるかもしれない」と思い、試行錯誤しながらも実践を重ねるうちに、「担任である自分がすべてを仕切るのではなく、子どもを信じて任せたほうが、学級経営はうまくいく」ということを実感しました。 以来、8年以上にわたって毎年約30回クラス会議を開き、子どもたちの力に驚かされたり、感動したりしながら“一人ひとりの居場所があるクラスづくり”が実現できたと自負しています。公立小学校を退職後、それまでの経験を踏まえクラス会議の意義やノウハウを伝える「クラス会議講師」として活動を始め、全国各地で講座を開催しています。