コロナ禍の世相を反映 年間ベストセラーに『ペスト』『大河の一滴』「あつ森攻略本」[トーハン年間ベストセラーランキング(2)]
12月1日トーハンの「2020年 年間ベストセラー」が発表され、世相を反映する書籍が多数入賞を果たしている。 文庫総合部門では3位に1947年に発表された『ペスト』がランクイン。感染症の蔓延で翻弄される社会と人々を描き、新型コロナウイルスに苦しむ私たちの状況と多くの共通点を見出すことができると大きな話題に。コロナ禍に襲われた2020年を象徴する一冊といえるだろう。同じくコロナ禍で緊急事態宣言が出された4月から5月にかけて大きな注目を浴びた五木寛之さんの『大河の一滴』(幻冬舎 1998年)も6位にランクイン。人生は苦しみと絶望の連続であると諦め、覚悟をきめたときに真の希望と勇気が訪れると説いている。 また感染拡大防止のために外出の自粛がおこなわれるなか、自宅で楽しめるゲームには特需が訪れた。ゲーム内で自由な生活が楽しめるニンテンドースイッチのソフト「あつまれ どうぶつの森」が記録的なヒットとなり、ゲーム攻略本部門では「あつ森」攻略本が1位2位を占めている。 新書ノベルス部門では今年、読者の年令を問わず大ヒットとなったコミックス「鬼滅の刃」のノベライズ作品が大量ランクイン。本編の連載は5月に終了したが、コミックスでは描かれていないキャラクターたちの活躍を描いた外伝3冊がまだまだこの世界を楽しみたい読者に響き1位を獲得。2位には現在大ヒット上映中の映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」のノベライズ版がはいった。 新書ノンフィクション部門では2019年7月に刊行された『ケーキの切れない非行少年たち』がロングセラーで1位に。同書は昨年の年間ベストセラー新書ノンフィクション部門(トーハン調べ)でも3位にランクインしていた。累計発行部数は65万部を突破し、非行少年たちのなかに「境界認知」と呼ばれる認知機能に問題がある子どもたちが多数存在することを世に知らしめた。
【文庫総合】 1位『マスカレード・ナイト』東野圭吾[著](集英社) 2位『AX アックス』伊坂幸太郎[著](KADOKAWA) 3位『ペスト』カミュ[著]宮崎嶺雄[訳](新潮社) 【新書 ノベルス】 1位『鬼滅の刃 しあわせの花』『鬼滅の刃 片羽の蝶』『鬼滅の刃 風の道しるべ』吾峠呼世晴[原作]矢島綾[著](集英社) 2位『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ』吾峠呼世晴[原作]矢島綾[小説]ufotable[脚本](集英社) 3位『女王と海賊の披露宴 海賊と女王の航宙記』茅田砂胡[著](中央公論新社)