『学マス』、十王星南「小さな野望」は伝統と革新の1曲 「蒼い鳥」「こいかぜ」…椎名豪ワークスを辿る
アイドルを題材にしたキャラクターコンテンツの代表格『アイドルマスター』シリーズの最新ブランドとして、今年5月にサービスを開始したアプリゲーム『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)。プレイヤーが“プロデューサー”となってアイドルの育成を行う、シリーズの根幹となる部分は継承しつつ、アイドル養成に特化した学校・初星学園の生徒たちをプロデュースするという舞台設定や、Giga、ツミキ、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、ナユタン星人、長谷川白紙、HoneyWorks、原口沙輔、美波ら『アイドルマスター』シリーズ初参加の名だたるクリエイターの起用などによって新しい風を吹き込み、2024年を代表するヒットコンテンツとなっている。 【写真】『学マス』などの音楽を手掛ける”ASOBINOTES”より子川拓哉×渡辺量×佐藤貴文 そんな本作が2024年11月16日にハーフアニバーサリーを迎えたことに合わせ、新たなアイドルが実装されたことが注目を集めている。それが十王星南(CV:陽高真白)。初星学園の生徒会長にして、“学園一のアイドル”として多くの生徒たちから慕われている存在だ。『学マス』に登場するアイドルたちは基本的に、初星学園でナンバーワンのアイドルに与えられる称号“プリマステラ”(一番星)を目指しているのだが、星南は現役の“プリマステラ”であり、いわば彼女たちの目標としているアイドルそのもの。また、星南は初星学園の学園長・十王邦夫の孫娘で、そもそも初星学園にアイドル科が設立されたのは、学園長が孫娘の「アイドルになりたい」という夢を叶えるため、という裏設定もあることが、制作インタビュー(※1)にて明かされている。 幼少時からアイドルのエリート教育を受けて育った“学園一のアイドル”の星南が、なぜプロデューサー(プレイヤー)のスカウトを受けて、改めて自身の理想である“トップアイドル”の道を目指すことになるのか。その理由については、ゲーム内で彼女をプロデュースしていくことで明らかになっていくわけだが、彼女の“プリマステラ”であることの誇りと実力だけでなく胸の内に秘めた想いも含めて表現されたのが、ゲームでの実装と合わせて発表されたソロ楽曲「小さな野望」だ。それに先駆けて公開された星南のティザー映像にて披露された楽曲「Choo Choo Choo」は、彼女のクールかつスタイリッシュな側面を押し出したK-POP路線のガールズクラッシュなダンスポップだったが、「小さな野望」は壮大なオーケストラサウンドをバックに朗々とした歌声を響き渡らせるシンフォニックなナンバーに。しかもその楽曲を手掛けたのが、小室みつ子(作詞)と椎名豪(作編曲)ということで大きな話題を呼んでいる。 小室みつ子は、TM NETWORKの「Get Wild」「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~」をはじめ数多くの名曲を作詞したことで知られる大ベテランのシンガーソングライター/作詞家。『アイドルマスター』シリーズへの参加は今回が初となる。そして椎名豪は、ゲームやアニメの音楽を中心に活躍する作曲家。近年はTVアニメ『鬼滅の刃』の劇伴音楽を梶浦由記と共同で担当し、TVアニメとしては異例の全編フィルムスコアリング(映像に合わせて音楽を制作する手法)による制作でダイナミズム溢れるサウンドを実現し、同作のヒットに大きく寄与した。アニメの印象深いシーンで使われた中川奈美歌唱の挿入歌「竈門炭治郎のうた」も彼の制作した楽曲だ。直近では、今年3月に配信リリースされた平手友梨奈のソロ曲「絶望の女神」(ゲーム『星になれ ヴェーダの騎士たち』」スペシャルメインテーマ)の作編曲も手掛けた。 もともとはゲーム会社であるナムコ(現・バンダイナムコ)のサウンドチーム所属のクリエイターで、『テイルズ オブ レジェンディア』や『ゴッドイーター』シリーズなどのゲーム音楽を手掛けてきた椎名。それらの作品でも印象的な、生演奏のオーケストラを主体としたドラマティックな作風を持ち味としており、ゲームやアニメの作品性にマッチした壮大な世界観の楽曲を多く生み出している。