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マクラーレン、巨大ファクトリーを売却へ。この決断が“ポジティブな一手”である理由

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motorsport.com 日本版

 新型コロナウイルスの流行による影響で、マクラーレン・グループの自動車部門・レース部門は経済的に大打撃を受けた。彼らはこれにより1200人もの人員削減を余儀なくされ、バーレーンの国立銀行から1億5000万ポンド(約200億円)もの融資を受けることになった。 【写真】マクラーレン・テクノロジー・センターの内部  これらの措置はマクラーレンにとって理想的なものではなかったが、少なくともロードカー事業を再開し、レース事業が軌道に乗っていけば、経済的懸念を一掃できるような状況にはなった。  しかし先日、マクラーレンの拠点である『マクラーレン・テクノロジー・センター』に“売り出し中”の文字があるとのニュースが流れた。このことから、マクラーレンの資金繰りはやはり順調ではないのでは? との憶測が広がることになった。彼らはファクトリーを売却することで2億ポンド(約270億円)を調達しようとしているのだ。  ただ、これらの動きは目先の資金を確保するための安直なものではなく、随分前から計画されていたことだった。実際、今年3月にマクラーレングループの新会長に就任したポール・ウォルシュは、就任以来ファクトリーの売却を視野に入れていた。ウォルシュはマクラーレンのように自社で運営する建物を所有するのは一般的ではないと考えており、固定資産を抱えるよりも、成長分野に投資する方が理に適っているとしている。  これにはマクラーレンのCEOであるザク・ブラウンも同意しており、次のように語っていた。 「なぜこれほどの資金を不動産につぎ込んでいるのか? 我々は不動産会社ではない。我々はレーシングチームであり、自動車会社である。今こそバランスシート(貸借対照表)を整理する時なのだ」 「だから、最終的には(ファクトリーを)誰かに売却することになるだろう。その後、長期間のリースをして、そのお金で事業を成長させるための投資をする。これは財務改革の典型的なやり方だ」  ではなぜ、その計画が今になって明らかになったのか? それは、コロナ禍によってあらゆる企業に生じたような直接的な危機にまず対処する必要があったからのようだ。  ブラウンはさらにこう続ける。 「我々には現在多くの借金があるが、ポールは方向性を定め、より良いバランスシートを作ろうとしている。そして適切な投資を行なって会社を成長させ、財務的にはるかに強力な会社にしようとしている。ポールには並外れた実績があるので、我々はとても楽しみにしている」  バーレーンの銀行からの融資がまとまり、ファクトリーの売却も進行して行けば、マクラーレンが以前から懸念していたキャッシュフローは改善されていくことになる。ブラウンはファクトリーの売却が実現すれば、チームの運営面はさらに良い状態になっていくだろうと語った。 「キャッシュフローの面で言えば、我々は問題ない」とブラウン。 「確かに、コロナの影響でF1事業や自動車事業、そしてテクノロジー事業がストップした時、必要としていた現金を一気に消費してしまったのは明らかだ。それは実際に文書でも報告されている」 「そして我々は(資金調達を)やったんだ。健全な経営判断をして、ビジネスを軌道に乗せるためには、ある程度道筋となるものがないといけない。ファクトリーを売却してリースバック(売却した不動産をリース)することは非常に良い判断だ」 「これらで得たリソースをビジネスに投入していくことで、会社は成長していくことができる。我々のビジネスを次のレベルに押し上げるために、そのお金を何倍にも膨れ上がらせないといけない」  また、マクラーレンのファンにとって最も重要なのは、マクラーレンF1チームがグループ再編の影響を受けにくいと考えられており、今後もF1のグリッドに残り続ける可能性が高いということだ。  2020年シーズンのマクラーレンは好調な走りを見せており、第9戦を終えた段階でコンストラクターズランキング3番手につけている。そして2021年以降に導入される予算制限や新ルールに関しても前向きな考えを持っており、活動継続に関して心配をする必要は当面なさそうだ。  ブラウンはこう語る。 「我々はF1の次の5年間に向けて、とても良いビジネスプランを立てている。チームはF1の最前線に戻ってくるためのリソース、人材、サポート体制が整っていると思っており、私は心配はしていない」

Jonathan Noble

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