【ボクシング】「天才」阿部麗也が心機一転のカムバック
日本フェザー級2位の阿部麗也(KG大和)は13日、東京・後楽園ホールで同級7位の佐々木蓮(ワタナベ)と8回戦を行い、3ー0で判定勝ちした。
10戦無敗の新鋭を迎えた再起戦に、手堅く判定勝ち。しかし阿部は「ウーン……って感じですね」と、複雑な表情を見せた。11連勝の進撃で世界ランク入りを果たしながらも2019年、本命視された日本タイトル挑戦では引き分けと判定負けで急停止。この日、コロナ禍もあって13ヵ月ぶりとなったリングは「やっぱり気持ち良かった」ものの、思い描いていたのとは遠い内容に、歯痒さを隠せなかった。 絶対の自信を持つスタミナをベースに「前半削って中盤で倒す」プランは、3回に崩れた。同じサウスポー佐々木の左を逆カウンターで食らい、ヒザを揺らすピンチ。以後、正確な右リードを軸に立て直すも警戒心が先に立ち、巧みなクリンチにも攻撃を寸断されて、煮え切らないラウンドを重ねた。 「怖いのは、あの左だけとわかっていたのに……」と、片渕剛太会長とともに反省した阿部だが、1年9ヵ月ぶりの白星には「ホッとしてます」が本音だろう。片渕会長は今後、東洋太平洋王者の清水聡(大橋)を狙っていきたいとした。派手なガウンとベルトラインに「天才」と縫っていた自信家は今夜、その文字を「凡才」と変えて帰ってきた。「次はビシッと勝って、天才に昇格かな」。その才能にかかる期待は、まだまだ大きい。
荒谷龍人は衝撃のKO負け
セミファイナルのスーパーフェザー級8回戦では、ノーランカーの遠藤勝則(角海老宝石)が、元東洋太平洋タイトル挑戦者の荒谷龍人(KG大和)に4回2分19秒、ドラマチックな逆転TKO勝ちした。 立ち上がりから長身の荒谷が攻めまくる。右ストレート、左フックを打ち込まれて、遠藤は反撃の手立てがない。3回には右を決められて、遠藤はダウンを喫した。ところが4回、荒谷は一気にペースダウン。ノーガードのまま不用意に近づいたところに、遠藤の右がスマッシュヒット。荒谷は顔面からキャンバスに転落し、レフェリーは即座に試合を止めた。