豊洲住民訴訟、石原氏の責任めぐる都の方針見直し「間に合わず」
豊洲市場の用地購入をめぐる住民訴訟について、東京都は27日に開かれた進行協議の場で、今後の裁判への対応方針を東京地裁と原告側に示さなかった。「石原慎太郎元知事に責任はない」としていた従来の姿勢を見直すかなどを伝える予定だったが、作業量が膨大で検討が間に合わなかったとしている。次回の口頭弁論は5月31日に行われる予定。
新資料発見などで作業が膨大に
この住民訴訟は、2012年5月に築地市場の事業者らが都を相手取って東京地裁に提訴した。土壌汚染対策費を適正に見込まない価格で土地の売買契約を結び、都に損害を与えたとして、石原元知事に対して土地購入額約578億円を請求するよう都に求めている。 従来、都は「石原元知事に責任はない」との立場を取ってきたが、今年1月に小池知事がこうした対応姿勢を維持するか見直す考えを示し、弁護団も刷新。新弁護団が用地購入や石原元知事の責任の調査、損害額の算定を行った上で、都はあらためて方針を検討し、この日に行われた協議の場で表明する予定だった。 都総務局によると、新弁護団による調査を進める中で、調べるべき資料が新たに見つかるなどして作業量が増え、間に合わなかったという。調査完了のめどについては「現時点では分からない」としている。小池知事も21日の定例会見で「かなり膨大な作業と聞いている」と見通しが立っていない旨を回答していた。 原告側代理人の大城聡弁護士は「率直に言って残念。被告の事情で待っている状態なので、なるべく早く方針を表明してほしい」と述べている。 (取材・文:具志堅浩二)