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体内の放射性セシウムの可視化 高崎・量子研などのグループが世界で初めて成功

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上毛新聞

 群馬県高崎市に拠点を持つ量子科学技術研究開発機構(千葉市)などのグループは15日、生きた動物体内の放射性セシウムの動きを可視化する技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。東京電力福島第1原発事故で関心が高まったセシウムによる内部被ばくの影響を分析する上で重大な成果としており、「さらに研究を進め、セシウムの体外除染剤などの開発に役立てたい」としている。

◎時間ごとの分布や移動明らかに 影響予測や除染剤の開発に期待

 同機構高崎量子応用研究所の鈴井伸郎主幹研究員、河地有木(なおき)プロジェクトリーダーらのグループが発表した。微量の放射線を出す元素の動きを追跡、撮影する「RIイメージング」と呼ばれる技術などを活用した。

 原発事故で放出されたセシウムと同じ動きをする同位体(Cs-127)を製造し、余分なナトリウムイオンなどを除去することで、体液に溶け込ませやすいセシウムイオンを精製。これを実験用のラットの尾静脈内に投与し、がん検診に用いられる「ポジトロン断層法(PET)」で撮影すると、体内に取り込まれたセシウムの動きを4時間後まで追跡することに成功した。

 エックス線CT画像と重ね合わせた結果、血流を通して唾液腺(せん)、心臓、腎臓、小腸などに集積した後、徐々に各臓器の外に移動していく様子が確認されたという。

 これまで計測に利用されていた「フォールボディカウンタ」と呼ばれる装置では、体内にあるセシウムの総量しか測定できなかった。今回の技術開発により、摂取直後から排出されるまでの体内分布や移動経路をリアルタイムで追跡可能になった。今後は内部被ばくによる特定臓器への影響の予測や、体外に排出させる除染剤の開発などへの応用が期待される。

 河地プロジェクトリーダーは「セシウムの排出メカニズムが解明できれば、万が一、誤って摂取したり吸い込んだりしても、適切な対処ができるようになる」と説明する。

 研究成果は国際的な科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

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