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「筑駒」で超音波カンニング!? 超進学校を支える「やると決めたどこまでやるさ」

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NIKKEI STYLE

《連載》進学校の素顔 筑波大学附属駒場中学・高校(下) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

超進学校と言える筑波大学附属駒場中学校・高等学校(筑駒、東京・世田谷)。その授業風景は受験対策に偏ったものではなく、スマホを使って音楽を編集する実験をするなど、かなり型破りな内容だ。生徒自ら課題を決めて、とことん探究する姿勢を伸ばすためだ。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が訪ねた。

■超音波の特性を利用してカンニング!?

驚異の東大進学率を誇る超進学校、筑駒だが、授業のなかで大学受験に特化した指導を行うことはほとんどない。たとえば理科では、高校2年生になっても3年生になっても、実験が中心だ。 高2の物理の授業を見学した。2コマを続けて、物理実験室で行われる。冒頭、「スマホもっていないひとがいたら貸します」と言うのは授業を担当する今和泉卓也さん。理学博士でもある。筑駒には制服も校則もなく、高校生はスマホの使用も自由だが、ときどきスマホをもっていない生徒もいる。そのために「理科実験器具」として学校が所有しているスマホを授業の間だけ貸し出す。 授業の冒頭、「これ工作してみました」と言って今和泉さんが取り出したのは基板に小さなスピーカーをたくさん取り付けた電気工作。それをスマホにつなげてアニメソングを再生すると普通に音が聞こえる。が、スピーカーの向きを少し変えると聞こえなくなる。「そのへん聞こえるでしょ」と教室の奥の生徒に呼びかける。「はい!」。音を天井に反射させて生徒を狙い撃ちしたのだ。 「これは超音波スピーカーです。普通だったら人間の耳は聞こえないはずの4万ヘルツという超音波を発しているのですが、FMラジオと同じ変調という仕組みを利用することで人間の耳に聞こえる音の情報を乗せることができるんです。でも、超音波には『広がりにくい』特徴があります。だから狙ったところにしか届かない。レーザーみたいでしょ」と今和泉さんが説明する。 するとすかさず「遠くからでも耳元でささやけるじゃん……」「お前にささやかれたくねぇよ!」「じゃ、カンニングに使える!」と反応する生徒たちがいる。超音波スピーカーを応用すれば、試験会場内で誰にも気づかれず会話ができるという発想だ。即座に具体的用途を思いつくのもすばらしいが、しかもそれを試験という状況と結びつけるところは超進学校らしさの一端かもしれない。

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