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【氏原英明の本音で勝負!】救援左腕不足の西武。3連覇のためにはすぐにでもトレードで補強するべき

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THE DIGEST

 起こるべくして起こった敗戦だった。  7月4日の西武対オリックス戦。  西武は1点リードの8回裏、1死一塁の場面で吉田正尚を迎えると、森脇亮介に代えてサウスポーの小川龍也をマウンドに送った。通常なら、セットアッパーのギャレットが登板してもおかしくない状況だったが、同一カード6連戦の5戦目だったこの日は、日頃はプレッシャーが少ない場面で登板する投手が次々にマウンドに送られた。だが、この日で4連投の小川は吉田に逆転本塁打を被弾。小川は一人挟んで同じく左のT‐岡田にもヒットを浴びて降板した。  このシーンを見た時に蘇ってきたのは、2週間前に飛び込んできたトレードのニュースだ。  上位をいく巨人と楽天との間で格差トレードが成立。楽天は年俸2億円のウィーラーを放出したのに対し、巨人から獲得したのがサウスポー池田駿だった。この時にはっきり見えてきたのは、楽天の6年ぶりリーグ制覇への本気度だった。    開幕直後のコラムで、日本ハムのサウスポーマネジメントについて取り上げた。潤沢な資金がない日本ハムは、それこそMLBのレイズのように、あの手この手の戦術を使って勝ちをもぎ取ろうとしている。パ・リーグに数多くいる左打者対策もその一つで、公文克彦ら多くの左腕をブルペンで待機させている。  そんな中で、楽天がサウスポーを獲得した。左投手不足に喘ぐチーム事情を鑑みての補強策は至極納得のいくものだった。  3連覇を狙う西武も事情は同じだ。  サウスポー不足は今季に始まったことではない。2017年のドラフト1位で斎藤大将を獲得したのも弱点を強化するためだったが、その育成は順調とは言えない。それだけに、ライバルの楽天に先んじられたのは痛い。  振り返ってみれば、6月23日のソフトバンク戦は、そんな台所事情を象徴するような試合だった。  

 高橋光成が先発したこのゲームは、打線の爆発があって11対3で快勝した。一見、山賊打線を前面に打ち出しての勝利だが、不安要素が顔を出したのもまた事実だった。  西武は2回にスパンジェンバーグの満塁弾で4点を先制。ソフトバンクは3回に2点を返したが、西武は3回から1点ずつ加点して突き放した。  ところが6回表、ソフトバンクは疲れの見える高橋光成が無死からヒットと四球で走者を貯め、5番・長谷川勇也に大きなレフトフライを打たれると、辻発彦監督はここで平井克典にスイッチ。平井は1点こそ失ったもののそれ以上傷口を広げなかった。  問題はここからだ。6回裏、西武は1点を追加。8対3で迎えた7回に誰をマウンドに送るのか、ブルペンで誰が準備しているのかを注目して見ていた。一人は平良海馬、もう一人は、この日昇格したばかりの左腕・小川だった。7回表のソフトバンク打線は、9番の三森大貴から3番の柳田悠岐まできれいに左が並んでいた。  ここで辻監督が審判に告げたのは平良の名前だった。    小川が準備を始めるのが遅かったため、最初から「7回は平良」と決めていたのかもしれない。とはいえ、点差が点差である。  5点リードの7回で、左打者が並ぶ状況でサウスポーが登板しない。  辻監督の采配云々ではなく、この事実は西武の投手陣に対左打者用の信頼されている左投手がいないと宣言しているようなものだ。辻監督はようやく2日のオリックス戦になって小川を緊迫した場面で起用したのだが、ようやく踏み切ったという印象は拭えなかった。  その中で起きたのが、冒頭のオリックス戦での逆転劇だったのである。  楽天が池田を獲得したことが、この先のシーズンにどのような影響を与えるのかは興味深い。日本ハムは現在、ブルペンに4人のサウスポーを並べ、ソフトバンクも同数を配置している。  では、サウスポー事情に苦しい西武はどうするのだろう。  佐野泰雄、斎藤、野田昇吾ら二軍調整中のメンバーに期待するのか、それとも、川越誠司や鈴木将平の台頭で飽和状態になった外野陣を交換要員としてトレード補強を検討するのか。いずせにせよ、早急な手立てがチームに求められているのは間違いない 取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト) 【著者プロフィール】 うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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