世界王者・中谷潤人が無罪確定の袴田巌さんと初対面 「長い間戦ってこられた姿に力をもらいました」
プロボクシング世界3階級制覇王者でWBC世界バンタム級(53・5キロ以下)王者・中谷潤人(M・T)が29日、東京・後楽園ホールで行われた興行を観戦。1966年に静岡・清水市(現・静岡市)で一家4人が殺害された事件を巡るやり直し裁判(再審)で無罪判決が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(88)と初対面した。 袴田さんは9月26日、静岡地裁での再審公判において「無罪判決」が言い渡され、その後、検察が控訴を断念、袴田さんは「完全無罪」を獲得した。袴田さんはこの日、姉・ひで子さん(91)とともに、長く支援を続けてきた日本プロボクシング協会(JPBA)からの招待を受けてボクシングの“聖地”に来場したが、中谷は支援集会にも参加するなど袴田さんの無実を信じて支援を続けてきた一人。袴田さんは1960年に19戦の年間最多試合の日本記録を持つフェザー級の元日本ランカー(最高位は6位)で、この日は当初、中谷とともにリングに上がる予定だったが「5分前に機嫌が悪くなって…。これも病気の後遺症」と、ひで子さんが代わって登壇してファンにあいさつした。 「58年も戦って、やっと勝ちましたの。死刑囚ではなくなりました」と報告したひで子さん。中谷は「微力ではありますが、無罪という報告の場にいさせてもらったのはよかったと思います」と感慨深げ。48年の収監生活を含め、無罪判決を勝ち取るまでに58年もの歳月を戦い抜いてきた袴田さんを思いやり「長い間、戦ってこられて、僕自身、力をもらいました。自分も(ボクシングができる)こういう環境に感謝しないといけない。自分にできることを精いっぱい、やっていきたい」と決意を新たにした。 同時に、ひで子さんの人柄にも心を打たれたようで、「検察の方に『冤罪の方はまだまだいますから』などと伝えている映像を見た時に、なんて心の広い方なのかなと思った。そう言えることがすごい。ひで子さんの強さを感じています」と話し、「(袴田姉弟には)これからも元気に過ごしていただきたい」と思いやっていた。
報知新聞社